【嵐よういち・海外裏ロード】インドネシア、ヌサ・トゥンガラ諸島旅行記 前編
マウメレの街

フローレス島に行ってみよう

インドネシアは5110キロメートルと東西に非常に長く、世界で最も多くの島嶼を抱える国で、1万3466もの大小の島によって構成されている。人口は2億3000万人を超えていて世界第4位である。また世界最大のイスラム国としても知られている。

インドネシアの島々が並んでいる地図で見ると、右にヌサ・トゥンガラ諸島はある。某編集者に「嵐さん、日本人があまり行かない場所を探して行ってきてくださいよ。それを本にしましょう」と言われた時にインドネシアの地図を開き、一番最初に目に止まったのがヌサ・トゥンガラ諸島なのである。

なんて、変わった名前であろうか。いったい、ここはどんなところなのか。ネットや世界1周ブログ、書籍などからの情報も少なく、だったら自分で行くしかないと、そんな単純な理由で行くのを決めたのである。

ヌサ・トゥンガラ諸島だけでも大小1000あまりの島々が首飾りのように連なっており、その中でも有名で大きいのがフローレス島。その島で一番大きな街が人口7万人のマウメレである。まず、そのマウメレにはバリのデンバサールから向かうことにした。

マウメレに到着したのは昼過ぎであった。タラップを降りるとバリと同じくらいの蒸し暑さが襲ってきた。そこから歩いて出口に向かう。空港は小さく、荷物を受け取るベルトコンベアは一つしかない。観光案内所があったので入ろうとしたが閉まっている。街の地図や島の観光スポットを聞きたかったのだが、なんたるユルいというか、やる気のなさだろう。タクシーは入口でチケット制になっており、5万ルピア(約400円)で市内のホテルに行ってくれる。タクシーに乗り込むと、運転手に滞在期間などの質問攻めをされる。そしてどこかに電話をかけ始めた。これは旅行会社やガイドに知らせ、マージンをもらおうとしているのだ。

実のところ、この島で何をするか俺は全く決めていなかった。そもそも最初の予定ではバリで後輩のオガミノ君と待ち合わせ、世界で唯一クジラ漁が認められているレンバタ島に行くつもりであった。そのレンバタ島にはフローレス島経由でしか行けないので、この島には数日滞在する予定であったのだが、そのさい彼が「せっかくなのでフローレス島もじっくり見たいんで時間を取ってくれませんかね」と頼んできたので、気乗りはしなかったが時間を割いた。

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だが、奴は一身上の都合でドタキャン。俺はガッカリした。そしてこの時の旅はタイの首都バンコクからクウェート、モロッコ、スペイン、ポルトガルを周り、そこからの長距離フライトでバリに到着していたので精神的、肉体的に疲れ、モチベーションが上がらない。こんな状態でフローレス島ではどうするか? こんな時は金がかかろうが、多少ボられようが、ガイドを雇って観光するのも悪くないと思っていた。それに島内の移動は基本、バスだけで、道が悪くて本数も少ないと聞いていたので高くても車をチャーターするのもいいかもしれない。

言葉が通じない

タクシーはホテルに到着した。俺がホテルの敷地内に入ると色の黒い2人の若い女たちが近づいてきた。彼女たちはパプアニューギニア系で、髪の毛もチリチリである。ホテルのスタッフに間違いないようだが言葉が全く通じない……。ホテルの少ないマウメレで外国人もたまには来るだろう、それなのに何も分からない。ワン、トゥー、スリー、ハウマッチさえ分からない。かつてここまで会話が成立しないホテルに泊まったことがない。それでもどうにかノリでチェックインをしたが、なんだか居心地の悪い宿であった。

2人の女は俺が行動する度にジロジロと見てきてゲラゲラ笑う。おまけに近づくとなんとも言えないクサい体臭が鼻につき、息をするのも気持ち悪くなってしまう。宿は朝食付きで20万ルピア。部屋にはテレビ、エアコンがあるが、ドアが壊れていて開け閉めするのが大変なのと、バスルームがインドネシアの伝統的なマンディ方式。これは風呂のような水溜に水が入っていて、体を洗う時に桶ですくって洗う。トイレを流す時もこの水を使う。それはいいのだが、マンディの水が……虫が浮かんでいたりして汚いし、歯を磨く時や、顔を洗う際、蛇口を開くとやたらと跳ねるし使いにくい。もっと最悪なのは体を流した時、排水溝が詰まっているらしく、洗っている最中から足元の汚い水が増水してくる。おまけに水が全然ひかないのでトイレや手を洗う際、この汚水に足をつけないと何もできないことである。

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ネットもつながらず、「Wi―Fiはある?」と尋ねても、全く理解できないありさまだ。なぜこの宿にしたかというと、数少ない日本人旅行者のネット情報で「マウメレで最高のホテルだ」と書かれていたからだ。最高とは言い難いが、ジャワ島の人たちがビジネスなどで来る時の常宿になっているようで5~6人泊まっている。ジャワの人たちは中国系が多く、彼らは英語が話せるので通訳をしてもらったりした。みな、親日家のようで日本製品などをベタ褒めしている。彼らによるとフローレス島ではジャワ島の人は“外国人扱い”で共通語のインドネシア語で会話はできるが、基本的に言葉も容姿も違うので居心地はあまり良くないらしい。

宿の外でコーヒーを飲んでいたが、テンションが全く上がらないし、旅自体に疲れてきている。すると1台のワゴン車が停まった。そこには白人の姿があり、客かなと思っていると色黒で小柄なオヤジが1人で降りてきた。元横浜DeNAベイスターズにいたモーガン選手にどことなく似ているな、というのが第一印象であった。彼は俺の方に寄ってきて笑顔で観光用パンフレットを渡してきた。

「フローレス島は道が悪いから運転手つきの車をチャーターした方がいいよ。ガイドもするし便利だよ」という。値段はかなり高いが、移動するのがかなり億劫になってきたところだったので、とりあえず2泊3日だけガイドを頼むことにした。島の見所もよく分からなかったのでちょうどいい。これがモーガンとの出会いであったが、正直、後に後悔することになる。

モーガンが帰り、さて何をするか。街を少し歩いてみたが何もおもしろくなく、なおかつ、うだるような暑さのため、すぐにホテルの戻るはめになる。ホテルの隣には雑貨店があり、可愛い12歳くらいの女のコが店番をしていた。

英語を話す女の子

ビールを購入してガブ飲みをする。この娘は学校で英語を習っているらしく、しばらく酒を飲みながら世間話をする。一度宿の庭にあるベンチに戻ってビールを飲む。やることがなければ飲むしかない。ジャワ島から来ている人たちと会話を楽しんでいたが、彼らはイスラム教の教えをちゃんと守ってアルコールは一切口に入れない。

そうこうするうちに夕方になり、宿の前にある広場に屋台群が開き始めた。そこにはサテ、ナシゴレン、ミーゴレンなどの日本人にも馴染みのあるものが売られている。俺はビールのつまみにサテを2本頼んでみるが言葉が通じないばかりに“二人前”で計12本のサテを食べるはめに。おまけにいくら払っていいか分からず困っていたら、小さな女の子を連れたオヤジが英語で助けてくれた。

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彼は旅行ガイドをやっているらしく、俺に営業をかけてきたが、「もう約束している」と言うとそれ以上、しつこいことは言ってこないどころか別れ際に「では、フローレス島を楽しんでね。君がこの島のことを好きになってくれることを願っている」と言った。この島はいい人が本当に多い。大量のサテを持ってホテルのベンチで食べていると、さきほど話したジャワ島の男性がいたのでサテを出し、「あそこの屋台で買ったけど食べない?」と言うと、彼は嫌な顔をしながら言う。

「屋台は好きじゃないんだ。清潔じゃないし。これからレストランに行って食べてくる」

なんだか地元の人たちを見下している言い方である……。

マウメレの街

マウメレの街

マウメレはフローレス島最大の街だが、見所はないし退屈である。バックパッカーもわずかで、時間を持て余してしまう。
街を歩くが、とにかく暑すぎる。帽子を被って歩くがそれでも腕や足に強烈な日差しが当たって苦しい。さらに突然、スコールが襲ってきて、その場合、急いでホテルに戻るか雑貨店の軒先で雨宿りをする。街には飲みに行くようなバーはないし、レストランも少なすぎる。雑貨店は意外と多く、言葉は通じないものの、みな親切であった。そんな街なのでホテルに籠るしかない。もしマウメレに行く人がいたら時間をなるべく割かない方がいいだろう。クーラーもない部屋にいて、Wi―Fiも飛んでなく、本も持ってきてなかったら最悪である。

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この記事の作者

嵐 よういち
嵐 よういち
旅行作家、旅行ジャーナリストをやっています。
代表作は、海外ブラックロード・シリーズ。
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