新連載第1回 名古屋栄のピンパブで泥酔【夜遊びコラム・アジアンナイトクルージング】
スパークリングワインを発注

日本国内のアジアにまつわる歓楽街や、アジア各国の歓楽街をめぐり、そのエピソードをつづるのが、編集部が担当する本コラムの主旨である。掲載は不定期になる見通し。

神奈川県茅ケ崎市の実家に居座り、家族のすねをかじり続けるダメ男、新羽七助。タイから日本に本帰国してからというもの、ヘラヘラのんきに暮らしていたが、母親が突如として股関節の手術を受けることになった。難しい手術ではないものの、リハビリが必要なため、約1か月の入院を要する。家には、まだなんとか元気ではあるものの、99歳の祖母も暮らしている。父や兄弟姉妹はいない。母親の入院中は、実家に張り付いて祖母の生活を見守るとともに、母の病院に定期的に見舞う責任を果たさねばならなくなった。

母が手術、入院する前に短い旅に出ようと思い立った。が、海外に渡航するような時間的余裕はない。かと言って、北海道や沖縄、九州も遠い。そこで白羽の矢を立てたのが、神奈川からも新幹線で簡単に行ける名古屋である。

行列のできるひつまぶし

JR名古屋駅に到着し、当地が誇る一大歓楽街「名古屋栄」のビジネスホテルに投宿。まずは腹ごしらえだ。“名古屋飯”と言えば、味噌かつや手羽先、天むす、きしめん、あんかけスパゲティー、台湾ラーメンなどなどバラエティーに富んでいるが、最も象徴的なのがひつまぶしではないだろうか。有識者によると、老舗の「あつた蓬莱軒」が間違いないという。

あつた蓬莱軒松坂屋店を訪れたものの、想定外の状況。考えられないくらいの行列ができているのである。「これでまずかったら店員にぶち切れてしまうかもしれない」などと考えつつ、1時間以上並んでようやくありついたひつまぶし(3600円)は、やはり文句のつけようがなかった。1膳目はそのまま、2膳目は薬味を加えて、3膳目はお茶漬け……という独特のうなぎの食べ方は、飽きっぽい自分にも合っている。

「あつた蓬莱軒」のひつまぶし

「あつた蓬莱軒」のひつまぶしは3600円=新羽七助撮影

名古屋のちゃんユキ!

腹が膨れたら、向かうべき場所はもはや決まっている。栄のフィリピンパブ街しかない。栄は全国的にもピンパブが多い歓楽街のひとつ。関係者らの間で有名な「フィリピンパブ嬢の社会学」(新潮新書)の著者、中島弘象(なかしまこうしょう)氏もここで取材を重ねたという。

タイで知り合った愛知県出身の知人に再会。氏も常連の人気店「クラブエイト」を訪問した。フリーで入ったものの、たまたま席に着いた嬢がかわいかったので、すかさず指名。源氏名はユキ。入店してまだ間もないという。20代前半で、肌はそこらへんの日本人女子よりも白い。日本語はほとんど話せないものの、日本・フィリピンのハーフなのだとか。

“ちゃんユキ”と言えば、バンコク・パッポンのゴーゴーバー「エレクトリックブルー」で一世を風靡し、現在は同「キングスコーナー」に在籍するゴーゴー嬢が有名だが、名古屋のちゃんユキも負けてはいない。

名古屋のちゃんユキ

名古屋のちゃんユキ。現場で「自撮りなら写真OK」とのことで、その1枚

延長はせず、近隣のピンパブ「ゴシップガール」に移動。だが、ラインアップはイマイチで、1時間ほど飲んでクラブエイトに戻ってきた。気分が高揚していたこともあり、今度は豪快にスパークリングワインを発注。そして、再指名したちゃんユキの尻を撫で、胸をつつき、キスをせがみ、泥酔……。貧乏人のくせに、ピンパブだけで1晩2万5000円も使ってしまった。キーニャオ(タイ語でケチの意味)失格である。

スパークリングワインを発注

スパークリングワイン「カフェドパリ」を発注=新羽七助撮影

ちゃんユキはタイ人女子らと比べると、筆まめならぬ“LINEまめ”で、頻繁にメッセージや写真を送ってくる。自撮り写真を見る限り、日に日に垢抜けてかわいくなっているので、名古屋再訪を企んでいる今日このごろ。(新羽)

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