第25回 サンパウロ今昔物語(5)【嵐よういち・海外裏ロード】
4人目は日系3世アウロ
ブラジル・サンパウロの「ペンション荒木」に住んでいた日系3世のアウロはシャイな男だった。日本語はほとんど話せず、旅行者とは全然絡まなかった。
アウロは上流階級の出身で、仕事は教師で給料も良く、独身。荒木に滞在していれば生活費もかからないので貯金も貯まるし、夜遊びも行ける。
彼とはよく、ボアッチ(ナイトクラブ)や、カラオケ店「テキーラ」などで遭遇したが、宿の中とは違い、女をはべらせて、高級ウイスキーを飲んでいた。優しいやつで、俺やシュウさんと会えば、ニコニコしながら高級ウイスキーをグラスに注いで「飲みなよ」とごちそうしてくれる。彼は大酒飲みで、なおかつ大食いだった。
アウロの部屋は新館の地下で、2人部屋だった。同室は日系人の男で、日本レストランで働いていた。アウロは普段からその男をバカにして差別していたらしい。理由は今となっては分からない。
ある日、アウロは胸を押さえて苦しみ出した。自分で助けを呼べない状況だ。その時、普段からいじめられている同室の男は無視して自分の仕事場に行った。
男が仕事から戻ってきても、アウロは苦しんでいた。普通だったらおかしいと思い、荒木を経営していたホーザさんに知らせるなり、救急車を呼ぶだろう。しかし、その男はそれも無視した。もし早く病院に行っていたらと悔やまれる。
3日ぐらい経ち、さすがにこれは知らせないとヤバいと感じた同室の男はホーザさんに知らせ、驚いた彼女は救急車を呼んだが、病院ですぐに息を引き取ったそうだ。たぶん心筋梗塞だろう。
サンパウロに遊びに行った友人から、その訃報を知らされてショックを受けた。アウロはまだ30代後半だったはずだ。
俺は、飲み屋で楽しそうに高級ウイスキーを飲んでいたアウロを忘れないだろう。
5人目はカラオケ店経営者のHさん
荒木とは関係ないが、昔から世話になっていたカラオケ店Tの日本人オーナーHさんの死には衝撃を受けた。サンパウロの邦人誌「ニッケイ新聞」の2013年5月7日付に彼の本名も載っていた。佐賀県出身で、年齢が64歳だったのを初めて知った。
新聞には本名が載っていたが、自殺の本当の原因が不明なので、それを配慮して本サイトではHさんと書く。
Hさんは静岡県出身の元ヤクザで、刑務所に何回も服役。ヤクザ時代は麻薬の卸売を手掛けていたが、自らも手を染めてしまい、シャブ中になってしまったという。
彼の刑務所話はなかなか面白かった。塀の中は暇なので、本を徹底的に読み漁ったそうだ。そこで宗教に目覚めたとも言っていた。
「シャブは本当に怖いぞ。ションベンの垂れ流しになるし、絶対にやっちゃいかん。二度と手を出さないよ」
Hさんはカラオケ店で酒を酌み交わしている時に、そんな話をした。記憶は不確かだが、彼がカラオケ店の経営を始めたのは05年ごろだったと思う。ヤクザから足を洗い、大金を持ってきて、ブラジルで第2の人生をスタートさせたのだ。
それまでのT店は入場料が無料だったので、金のない変なやつらがフラフラと店内を歩いていた。カレーやブラジルの国民食フェジョアーダなどが曜日によっては食べ放題だったので、貧乏旅行者らがたまり始め、雰囲気も良くなかったが、Hさんがオーナーになると一変した。
まず、入場料を取るようになって、変な客が入らなくなった。暴れたり、他の客に絡むような客がいたら、日本から連れてきたヤクザ仲間と追い出して出入り禁止にさせた。そのようにしたおかげで、客層は見違えるように良くなった。表面的にではあるが……。
俺がよく店に遊びに行くので、Hさんとは自然と話す関係になり、日本人の女のコを連れて行った時も優しい笑顔でそのコにこう言う。
「ゆっくり遊んでいってね」
東洋人街リベルダージを歩いている時、Hさんによく遭遇して世間話などしたものだ。彼は大股のヤクザ歩きで、タバコをスパスパ吸って、日本のヤクザがサンパウロに進出したような大きな態度で歩いていた。
Hさんはまた、金のない貧乏旅行者に優しく、少しだけしかお金を取らなかったし、サンパウロで格闘技留学している苦労人をスタッフとして率先して雇っていた。
自殺する前は、家族のことで悩んでいて鬱状態になり、ドラッグもたくさん服用していたようだ。自殺する少し前に会ったいう人の話によれば、かなり落ち込んでヤバい状態だったらしい。
彼はリベルダージの宿泊先で遺体となって発見された。
最後にHさんとの変な思い出を一つ書こう。
俺がある日、カラオケ店のトイレに入った。入ったら何かがおかしい。個室から男が2人出て来たのだ。麻薬をやっているのではなく、どうやらホモ行為をしていたようだ。俺は気分が悪くなったが無視していた。そして、次にトイレに行く時は先ほどの嫌なことが頭をよぎり、仲間につき合ってもらった。
すると、先ほどの男が小便をし終わった男のチンチンに口をもっていって、くわえていた。呆れかえると同時に怒った俺は、Hさんに報告。俺は、Hさんが激怒し、そいつらを追い出すと思っていたが、ゲラゲラと笑いながらこう言った。
「ガハハ~それにしても、どうしようもない店だな。薬をやっている客がいるかと思えば、男子便所でフェラチオかよ、あ~あ面白い」
俺はなんだかHさんを好きになった。
ブラジルの不良少年団。気を付けましょう!
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