第29回 アフリカ・モロッコはウザかった(2) 【嵐よういち・海外裏ロード】
アフリカ大陸北西部に位置するモロッコ北東部の都市フェズは行く前から、いい噂は聞かなかった。メディナと呼ばれる旧市街には自称ガイドがたくさんおり、しつこいし、非常に悪質でけんかに発展した旅行者もいるし、ろくな場所ではないらしい。
メディナの入口
昔からモロッコを旅した人に聞くとそのような話になる。10年前に旅行した友人も未だに酒が入ると自称ガイドの悪口になる。世界中を放浪するのが好きな3人の女性に話を聞いたが、1人は最初から避け、もう1人は行ったが不快なことしかなく、最後の1人は1日だけ訪問したが二度と行きたくないと……。
しかし、時期によっては自称ガイドが全然いないこともある。観光地であるため、ツーリストポリスが彼らを放逐するのだ。そんな時に行った人はこう言う。
「覚悟していたけど、全然いなくて拍子抜けだった」
「なんか追い出されていなくなったみたいだよ。おかげで観光しやすかった」
新刊を刊行するたびにイベントを行う東京都杉並区の書店「旅の本屋のまど」の店長は数年前に奥さんと訪れたが、「全然、そんなのいなくて驚きましたよ。ウザい連中が多かったのも昔の話かもしれませんね」と、俺の出発前に話していた。
だが、インターネットで検索すると、どうやらまだ生息しているようで、3人組で行動していた男の旅人らがメディナ内を歩いていて、3~4人の男たちにしつこくいちゃもんをつけられて、けんかに発展しそうになったことなどが書かれている。
最初、モロッコに行く時、ここは避けようと思っていたのだが、俺の場合、そういうわけにはいかないので軽い気持ちで「調査」しようとやって来た。失敗したのは、最大都市カサブランカでホテルを予約する際に、4日間も取ってしまったことだ。「なんか面白いことが多そうだ」と深く考えていなかった。
フェズと言っても大きく3つに分かれている。旧市街の「フェズ・エル・バリ」「フェズ・エル・ジェディット」、そして新市街である。
迷路のような道の途中にある宿にチェックインしたが、2月のフェズは昼間でも13度くらいで寒く、疲れもあって部屋でネットなどをして休んでいた。観光は翌日にしよう……。
夕方になって腹が減ったので、飯を食べに行くことにした。白人の観光客がちらほらいるが、東洋人の姿はない。小雨も降ってきて寒いったらありゃしない。適当なレストランを探していると、前方を歩いていた怪しいやつが、俺をジロジロと見てきてイラつかせるようなイントネーションの日本語で話しかけてきた。
「どこに行くの? 日本のどこから来た?」
俺は適当に街を見ながらレストランを探しているのだ。空腹も手伝ってどんどんイライラしてくる。
「1人で歩きたいからバイバイ」
そう言っても、しつこく話しかけてきて不快なので、Uターンして来た道を戻り、それほど入りたくもないレストランに入る。もうこれだけでこの街を出たくなってきたが、あと4日もいないといけない。
俺はインドや、この街のようなウザいやつの多い場所は一生行きたくないと思っていた。とにかくストレスがたまるし、腹が立つし、ゆっくり観光できないので、その街自体が嫌いになってしまう。
このような一部のウザいやつのせいで、観光客に悪影響を及ぼすだろうし、地元住民らも街の評価が落ちて迷惑だろう。これだったらまだ危険な街の方がましである。
席に座り、ビールを注文しようとしたものの、残念ながら旧市街ではアルコールがご法度らしく、この界隈にはどこにも置いていないようだ。ちなみに、モロッコでは外国人はアルコールを飲んでもいいので、都市の高級レストランやバーでは飲酒できるし、大きい街のスーパーではさまざまな酒を購入できる。
最低じゃないか。移動して新しい街に着いて一番の楽しみは、酒を飲むことなのに、それができない。モロッコに到着した初日、俺はカサブランカの中華料理店でビールを飲んだので、観光客が来そうなこのレストランでも普通に飲めると思い込んでいた。
とにかくフェズの初日は楽しいことが皆無だった……。
モロッコ風サラダ。味は大したことなかった
この街から早く出たい……
メディナは迷路であった――。迷っていると自称ガイドがすぐに近づいてくるので、中心部にある「ルシーフ広場」から分かりやすい建物を目印に慎重に進む。途中、欧米人の団体ツアー客がいたので、彼らの後をついていけば主な名所を回れると思ったのでついていく。
俺はガイドブックを読んでおらず、メディナの地図も簡単に目を通しただけだった。適当に彼らの後をついていったり、たまにいる日本人ツアー客の日本語解説を聞かせてもらったり、主要な道を行ったり来たりしながら道に慣れていく。
メディナの中
その間、ウザいやつは数人いたが、大したことはない。この地域は観光客がけっこう密集するので、1人にかける時間が少ないのか、はたまた午前中だからなのかはよく分からない。
どんどん突き進んでどこかの門に出ると、ウザい奴が増えてきた。片言の日本語で話しかけてくるやつや、英語でずっと付きまとってきて、逃げるように避けると「歩くの早いね、なんで?」とか話しかけてくるので疲れてくる。
俺はゆっくりとメディナの中を観光したいのだ。建物などを見ていると、前後左右から声が掛かり、勝手に“一人ガイド”を始める。断っても簡単には去ってくれない。挙句の果てに、やつらはこうほざいてくる。
「説明したんだから金をくれ」
「俺は頼んでない」
そう言い返すと、
「君には、慈悲の心が少しはないのか?」
「そんなのない、行ってくれ」
「俺は学生で貧乏だから少し恵んでくれ」
「嫌だ」
俺は無視しながら逃げる。もっと運が悪い場合は自称ガイドが切れてきてもめる。あるいは、そいつらの仲間が加わってこっちが劣勢になる。現地の人はそれを見ていても無視して助けてくれない。
メディナの中はかなり広く、ほかの観光客は有名な場所でない限りあまりいない。最悪である。それを避けるために、俺は自然と早歩きになり、声を掛けられても目も合わせずに完全無視することになる。メディナ内をゆっくり見られないし、楽しくない。そのような思いをしないためには、下記に注意する必要がある。(つづく)
(1)ちゃんとしたガイドを雇う
(2)複数で歩き、観光客の多いエリアで分かりやすい道だけを歩く
(3)観光シーズンに行く。ツーリストポリスによって、自称ガイドが排除されているかもしれないし、観光客が多いのでウザさが分散する。自称ガイドの数は基本的に変わらないと見られる。
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