第32回 ブラックロードの秘密兵器・野宿が登場!【嵐よういち・海外裏ロード】
丸ゴンが連れてきた
9月から俺と一緒にウズベキスタンとキルギスを旅するのは「野宿」という男だ。もちろん本名ではなくあだ名である。
やつと初めて会ったのは今年3月。俺と、おなじみの丸山ゴンザレス(丸ゴン)が配信するポッドキャスト(インターネットラジオ)番組「海外ブラックロード」の収録が代々木であり、ゲストとして本サイトにも寄稿する海外風俗ブロガーJOJOさんを迎えた。収録が終わるといつも打ち上げで飲みに行く。俺ら3人は居酒屋に入った。丸ゴンがおもむろに言う。
「仕事を一緒にやっている編集者が来るっていうので、ちょっと呼びますね」
15分くらいすると、Mさんという某出版社の編集者がやって来て、俺は名刺交換とあいさつ。Mさんは若い男を連れてきていた。Mさんと、その若い男の2人はサッカーJリーグのFC東京のユニフォームを着ていて、どうやら熱狂的なサポーターのようで、試合が終わってやって来たという。
そして宴が始まったが、丸ゴンが若い男のことを「野宿」と呼ぶ。
「なんで野宿って呼ぶんだ?」
俺がそう聞くと、丸ゴンは「こいつ、野宿が得意でどこにでも寝るし、高校生ホームレスだったんですよ」とわけの分からないことを言う。俺はそれに対して特に興味は持てず、MさんやJOJOさんと話して盛り上がっていた。だが、丸ゴンはなぜか野宿を俺に推してくる。
「嵐さん、今度の旅、野宿を連れてってやってくれませんか? すごいですよ、こいつ。本も面白いことになること間違いないですよ」
俺はそれでも興味を持てなかった。なぜなら野宿は俺の本を読んだこともなく、俺のことをこの場で初めて知ったのである。これでは話にならないではないか。少なくとも、俺のファンで、本を読み込んで、嵐よういちが何者かというのを認識していなければ、一緒に過ごすのは大変である。
新刊イベントにやって来た
その数日後、俺はなぜか野宿のことが気になってきた。ウズベキスタンとキルギスを誰かと回りたかったのだが、それが見つからない。もしあの男が来るなら……そんなことを考えていた。
6月中旬に西荻窪の書店で俺の新刊記念イベントを開催した時のこと。開始20分前に書店の前に立っていると、野宿が前方から歩いてきたので思わず口を開く。
「お、野宿、来てくれたのか!」
野宿は「嵐さん、僕のことを覚えていてくれたんですか? あれから嵐さんの本を読んだし、来週からサッカー・ワールドカップ(W杯)でロシアに行くので、新刊『おそロシアに行ってきた』も読みましたよ。面白かったです」とうれしいことを言ってくれる。
「ところで野宿、9月中旬にウズベキスタンの(首都)タシュケントで待ち合わせをしない?」
「なんですか、突然。まあ、いいですよ」
「よし決まった」
そんな流れで野宿とウズベキスタン、キルギスを旅することになったのだ。
母に閉め出されて初野宿
16歳の野宿は遅刻の常習者だった。まったく起きることができないのだ。眠りが異常に深いのが理由のようで、目覚まし時計をかけても無理。母親が何回叩き起こしてもだめで、学校からも怒られる。ちなみに両親は離婚していて母子家庭だ。
母親はついに堪忍袋の緒が切れた。
「次また寝坊したら家から叩き出すからね!」
今はしっかり起きることができる野宿だが、当時は絶望的に起きられなかったのは事実で、友人の家に泊まりに行っても、朝、起こされても死んだようにピクリとも動かないため、友人は困っていたようだ。
母親に怒られた翌日、野宿は起きられずに寝坊。学校を遅刻し、夕方帰宅すると、アパートの部屋に外鍵が付けられていた。さて、皆さんはこの場合、どうするだろうか?
(1)外から窓を叩き割って侵入する。ただ、部屋は3階にあるし、仮にそこまで登ったとしても、窓を割ったことを後から責められる恐れがある。
(2)母親の仕事場に電話するか、後から家に電話をかけてわびる。
(3)友だちに頼み込んでとりあえずその日は泊まらせてもらい、母親からの許しを待つ。
野宿はそのどれも選択せず、空地のすみに置かれているたくさんあったドラム缶の間に寝ることにした。意地もあって母親には連絡しない。学校に行き、友人に事情を説明すると、皆、同情してくれて昼飯を分けてもらい飢えをしのいだ。学校の帰り、自宅に戻ると鍵が換えられていた。どんな母親なんだよ……。
家に入れなくなった野宿は仕方なく空地に戻り、何日もドラム缶生活を続けたホームレス高校生だ。その後、母親から許しをもらい、紆余曲折あって高校を辞めてアルバイトをしながら一人暮らしを始めた。
バイト先の先輩が競馬好きで、その人に競馬場に連れて行かれて馬が好きになった。だったら競走馬の調教師になりたいと、それを目指すために千葉県で、住み込みで働くことになったが、そこはかなりブラックで、給料は安く、食事も出ない。シャワーは一つしかなく、ほかの人は皆モンゴル人で、日本人は野宿しかいなかった。
「調教師助手見習い」の肩書から始めたが、働きずめで満足な休みもない。調教師助手になるまで頑張ろうと奮闘したが、結局、調教師助手見習いのまま、昇格することもなく1年半も働いていた。もっと早く辞めろよ!
野宿というあだ名はヒップホップの大会で、仲間から勝手に「MC野宿」でいけと言われて以来という。FC東京が好きで、ベトナム遠征で編集者Mさんと知り合い、それ以来かわいがってもらっている。そして面白いやつがいるというので、Mさんが丸ゴンに紹介したのだ。興味がある人は、「野宿ブログ ~地球に泊まる~」を読んでいただきたい。
ロシアW杯でも全て野宿
野宿は6月、ロシアに旅立った。日本戦3試合とベスト16の1試合、計4枚のチケットは持っている。ここでやつはホテルには泊まらず、全て野宿しようと考える。ロシアでは、このような行為には厳しいはずである。捕まれば留置所に入れられるかもしれない。俺は注意したのだが、捕まるという最悪の事態を想像できないようだ。
野宿提供(以下同じ)
ロシアに行った野宿は、人がいない場所を選んで寝袋を敷いて野宿した。やつによれば、寝ているところを見られるほど恥ずかしいことはないらしく、おそらく一般人がトイレで行為に及んでいる時にドアを開けられるのに等しいかもしれない。日本でも海外でも人が見つけられない場所を探すのは天才的らしく、かくれんぼも得意で4畳半の部屋で30分間も隠れ通した実績がある。
金銭感覚がズレている!
野宿がロシアで野宿したのは、金を節約するためではなく、仲間と「W杯期間中はホテルには泊まらないで全部野宿する」と約束したからだ。基本的にケチではなく、金銭感覚がどこかズレている。
ロシアでも公共交通機関やタクシーは使わずに、徒歩とヒッチハイク。スマートフォンのマップを頼りに進むが、既に道がなくなっているところも多く、そこにはビルが建てられていて、周り道しながら進んで行く。空港までも歩いてしまう。例えるなら新宿から羽田空港まで歩こうとするのだ。
夜間に歩くことが多く、スマホの充電とトイレ目的でカフェに入って休んだり、疲れたら公園で仮眠。運の良いことに不良グループに絡まれることはなく、W杯の警備で大変なのか警察官にも遭遇せずに済んだ。もしパトカーなどが停まっていたら、不審な東洋人がリュックを背負い、夜中に街の外れを歩いていたら職務質問されるはずだ。
最終日にはかなり疲れてきたので、キックボードを約7000円で購入。それを使用して空港までは着いたが、壊れてしまい、空港のゴミ箱に捨てた。もったいないだろ! だったらタクシーの方が安い。
野宿は夏なのにシャワーを浴びていない。さっぱりしようとサウナに入ったら、そこは金持ちがリラックスする場所らしく、約6000円もとられた。
ロシアの地方都市では、友人2人とレンタカーを4日間借りたら、1日250キロメートルの走行で追加料金もかかるらしく、ガソリン代込みで約13万円……。ちなみに、運転マナーの悪いロシアではどんな事故に遭遇するか分からない。レンタカー会社から紹介された保険は高いので断った。
「もし人をひいたり、相手の車にぶつけたらどうするつもりだったんだよ? 自分がけがして病院に行ったら、保険なしじゃ大変だろ!」
そうたしなめると、そのような予測能力はないようで、「え、平気だと思ったので」と返してくる。
海外保険も今まで入ったことがないというので、俺との旅では保険に加入しないと連れていかないとはっきり言った。
この野宿との旅はとても楽しみである。
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