第49回 セブ島の歓喜 中編【嵐よういち・海外裏ロード】
疲労困憊
(前回)
運転手は必死に宿の場所を探すが全然辿り着かない。地元民は優しいのか暇なのか、たくさん寄ってきて助けてくれようとするが、全然だめだ。彼らはタガログ語、英語、英語の変形した言葉、セブ語を駆使して、いろんな言葉で会話している。
多民族国家のフィリピンは多くの島を擁しているし、国民の間では珍しいことではないのだろう。嬉しいのは英語が普通に通じ、例えばパン屋で注文している時も地元民どうしが英語で会話をしていることだ。向こうも何者かわからない俺に最初から英語で話しかけてくる。
しばらく走ると車は大きな邸宅の前に停まり、運転手が言う。
「着いたよ。たぶんここだ」
見ると、確かにミオさんから送られてきた写真に載っていた外観に近いし、ゲストハウスにも見える。運転手は俺の荷物をトランクから出そうとしている。だが、まだわからない。もし違ったら、地図もないし、右も左もわからない場所で途方にくれることになる。
「ちょっと、待ってくれ。確認するまでまだ行かないでくれ」
俺はそう言うと、チャイムを鳴らす。だが、人の気配はあるものの出てこない。しばらくするとドアが開く音がして初老の男性が出てきた。運転手がなにか言う。男性は首をふる。どうやら違うようだ。
住所を見せて運転手は場所を確認した。俺は男性に「遅い時間にすいませんでした」と言うと、笑顔で「いいんだよ。宿がわかればいいね」と優しく返してくれる。
その後、聞き込みをして宿が並ぶ場所に行くがそこでもなく、たくさんの人が「あそこじゃないか? 」とある場所を示す。それにしても、この通りも野良犬だらけだ。
車はゲストハウスっぽい建物の前に停まった。だが、この宿の主人は韓国人であった。
諦める宿探し
そして再び聞き込み。気が付くと、グルグルと同じ場所を周っているだけになり、かなり俺も疲れてきた。運転手も疲れの表情を浮かべる。料金はメーター制だが、チップはしっかり払わなければならないと思った。
それにしても、今日中に到着するのだろうか。あと30分見つからなかったら、ダウンタウンに宿を取って、そこでネットを繋げてミオさんに連絡するしかない。
過去に宿が見つからなかったことは何回かある。宿自体が無くなっていた場合や、情報が根本的に間違っていたことが原因だが、今回もそうかもしれない。そう思っていると、車は停まり、運転手は二人組の男に尋ねる。そして俺に向かって「あそこじゃないか? 」と言う。
外は少し雨が降り始め、舗装されていない道に雨が染み込み、少しぬかるんできた。それにしても空港に着いてから全くついていない。俺は疲れと共に凄くイライラしてきた。
細い道を進むと大きな邸宅があった。外から声をかけてみる。最初は警戒心を抱いていたオバちゃんが近くに来てくれ、「ここは宿じゃないよ」と言う。運転手が事情を説明すると、オバちゃんはいろいろ親身になって考えてくれる。
車は再び走り出した。俺はほぼ諦めかけた。と、その時だ!
「ここだぞ、着いたよ」
また違うんじゃないかと思い、期待もせずに何気に外に目をやると、ポスター大の紙に黒のマジックで『海外ブラックロード・嵐よういち様! 』と書かれているのが見えた。それを持っているのが若い日本人女性。俺は嬉しさのあまり急いで車を降りると、女性は言う。
「嵐さんですか? 待っていましたよ! 良かった、会えて」
安堵する嵐
俺を救ってくれた女性はミオさんの学校のインターンで、ヒカルさんという。昨日ミオさんから突然電話があり「明日、大事なゲストが来るから宿に行って、わかるように大きな紙に名前を書いて案内をしておいて」と頼まれたのだ。
彼女にとって迷惑な話だっただろう。彼女は俺の存在を全く知らず、宿からソンテウ{乗り合いバス}で10分の所に住んでいるのだが、そこからわざわざ俺の為に来てくれたのだ。
宿は彼女が待っている所から少し入った建物だったが、入口にはなんの看板もない。荷物を中に入れると運転手が「頑張ったからチップちょうだい」と言ってきたので多めにあげた。
ヒカルさんはミオさんに俺が着いたと連絡を入れ、部屋に案内してくれた。部屋はクーラーもある、シャワー、トイレ付きで非常に居心地の良さそうな部屋だ。俺はビールが飲みたかった。
「コンビニとか近くにありますか?」
「少しだけ離れているので私もついていきます」
そんなありがたいことを言ってくれる。彼女は、俺のことを19時半から21時までずっとあの場所で待っていてくれていたのだ。宿を出るとき彼女がこんなことを言う。
「あの~ 嵐さん。嵐さんって野良犬は平気ですか? 」
「平気じゃないどころか、大嫌いです」
「私も苦手なのですが、かなり多くて驚かれると思うし、夜には時に吠えてくるので注意してください」
とのこと。来るまでにかなり野良犬が多いのはわかってはいたが・・・。
セブの夜
コンビニまでの道は薄暗く、車のライトが時おり目に当たって細めてしまう。人と車はやたらと多く、人口密度の高さを思い知らされる。そして野良犬がそこら中にたむろしている。
コンビニに入り、フィリピンで有名なサンミゲル・ビールとカップ麺を買い込むが、普通だったらビニール袋にそれらを入れると思うが、なぜだか持つのに不便な紙袋。なんでもエコの為らしいが、持ちにくく、抱えながら宿に戻る。
お礼にヒカルさんにビールでもご馳走したかったが、もう帰るようだ。宿がやたらと静かなので聞くと、現在泊まっているのはロシア人の青年だけで、彼は今、遊びに行っていていないという。
彼女が帰って一人、ビールを飲む。誰もいないし、なにか寂しいな。そして宿の敷地内にあるイスに座ると風があまりないし、非常に不快な暑さである。どうやらセブは一年中暑く、特に四季も雨季もないようだ。あまり住みたくない場所だ。
やっと到着したと思ったらこんな心境になったので、スマホとパソコンを繋ごうと思ったが、なぜかわからないが全然繋がらない。明日は大丈夫だろう。仕方ないので諦めて一人寂しく寝た。
続く
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