第50回 セブ島の歓喜 後編【嵐よういち・海外裏ロード】
嵐よういち・海外裏ロード

ふてくされる

翌朝、8時半に目覚める。PCとスマホにWifiのパスワードを入力してみるが、相変わらず繋がらない。これは困る。ミオさんに連絡しないといけないし、元海上自衛隊で投資家の生方さんはセブの他校で勉強していて、明日、遭う約束をしているのだ。

すると、台所で物音がした。他の旅行者かもしれない。出ると東洋人の中年女性であった。彼女の眼は少し青っぽかったのでハーフみたいだ。挨拶をして「どこの国の人ですか? 」と尋ねると「セブ島」と返してくる。

よく聞くと、どうもこの宿の使用人のようで、住み込みしながら部屋を掃除、雑用をしているようだ。俺はネットが繋がらないことを訴えると、一緒にやってくれるが、なぜかダメ。もう諦めるしかないようだ。

宿の前に群れる犬

腹が減ったので、昨夜行ったコンビニに行くことにした。一歩宿を出ると……

宿を出てすぐの所に、夜は閉まってしまう小さな門があり、そこの前に串焼き屋の屋台が出ているのだが、店先に野良犬が10匹ほどたむろしているのだ。客と店主は犬のことをさして気にしていないようで、たまに肉を与えている。
犬も人間になれているように見えるが、絶対に狂犬病の注射など打ってないはずだし、噛まれたら大変である。そのコンビニに行くにはこの犬の群れの前にある狭い場所を通らないといけない。

俺は少し怯み、いったん宿のドアを閉めて10分間待機。そして再びトライしようと見ると、犬が若干減っていたので気合を入れて突入。どうにかそこを抜け、コンビニの隣にあるパン屋でパンを3つ購入して食べるが、テレビもないし、ネットも繋がらず、他の旅行者もおらず、ガイドブックも地図もない。
やることがないのが辛いが、宿には日本人が置いていった意識高い系の本があったので、それを読み、そして眠くなったら寝る。今回の長旅でセブは最後の場所で、疲れも溜まり、いろんなことを行動する気力が無くなっていた。

俺が泊まっているゲストハウスは学校の授業でも使われる教室がある。繁忙期には日本を中心に生徒がたくさん集まるのだろう。この時まで知らなかったのだが、セブには英語の語学学校がたくさんあるという。韓国人経営も多く、日本人経営も大手企業が入っているようで、生方さんもその一つに通っている。

この日はビールや食い物をコンビニで買い込み、夕方から飲んでいた。サロンにいると、蚊がいるし、風が止まると不快指数があがり、蒸し暑さが俺をイラつかせる。

再会

翌日も午前中にパンを買いに行き、不貞腐れたように部屋で本を読んで、眠くなったら寝ていた。この日は生方さんとミオさんの3人で食事する予定であったが、どうなることやら。ミオさんはセブに着いている予定だが、全くコンタクトがない。一応、二人とは19時に宿の前で待ち合わせをしていたので、服を着替え、用意はしたものの、どうなるのか。

時刻は17時40分。すると、廊下から「嵐さん~いますか?」と、ミオさんの声がした。俺は喜び勇んで外に出てミオさんと再会した。彼によると昨夜の午前2時に空港から宿の2階に戻り、少し寝て俺が起きる前に、もう一つの校舎に仕事に行ったという。だったら俺の部屋をノックしてくれるなり、手紙でも置いておいてくれれば良かったのに。

そして俺はミオさんにスマホとPCが繋がらないと抗議し、ミオさんがスマホを操作すると、難なく繋がった…… 理由は全然わからない。そしてPCも見せて、それを操作すると、それも簡単に出来た。ミオさんは笑いながら「オカシイですね」なんて言っている。原因究明はこの際、どうでもいい。ラインを見ると、生方さんから連絡がずっと入っていた。

「19時の予定ですが、時間調整しまして18時に伺います」

「あれ、連絡ないですが、なにかあったのですか?」

そしてほんの1分前に、

「今、宿の近くにいると思うのですが場所がわかりません。しばらく探して見つからなかったら諦めます」

俺はライン電話で生方さんにかけ、宿のドアを開けると生方さんがキョロキョロしながらすぐ近くを歩いていた。

トップス

俺は孤独状態から仲間と合流出来たことでテンションが上がってきた。そしてミオさんの車で、丘の上にあるトップスという場所にある有名イタリアンに行くことにした。一応、トップスはセブ島の観光名所になっているが、行くのには少し不便だ。
セブは交通渋滞が激しく、中心地は車の移動に時間がかかる。生方さんは高級なホテルや店が並ぶエリアのコンドミニアムに滞在しているが、最近ここで事件が頻発している。

セブは金持ちが多くなってきたが、貧富の差が激しくて治安は良いとはいえない。このエリアでもスマホのひったくり事件や、女性がハンドバックを奪われる事件が多発しているようだ。旅慣れている人だったら遭わない犯罪だと思うが、そうではない人が日本と同じ感覚で行動するからそうなるのだ。

車は途中、クネクネした山道を走るが、バイクや人家もあり、この島は人口が集中しているのを感じる。イタリアン・レストランはなかなか洒落ている店だが、駐車場にまたもや野良犬の群れ。だが、飼い犬のように大人しくしている。

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店内はセブ島を一望できる席に案内され、サービスも良く、ピザ、パスタなど、味も最高であった。
団体客が予約を入れていたのだが、俺らが席について30分後、その団体がやってきた。なんと日本人女子大生の一団で、おそらく英会話の語学研修にでも来ているのだろう。俺の向かいに座った女の子はかなり可愛くイイ目の保養になった。

ビーチの帰り道

翌日はミオさんと二人でビーチ・リゾートに行き、食事や動画の撮影などをし、そこを後にして宿に戻ることにした。

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セブは日本食屋が多いのだが、それ以上に韓国系の店がやたら目につく。韓国人観光客目当てかもしれないが、それにしてもありすぎる。ミオさんによると、韓国国内にはもうビジネスチャンスがなく、セブで一旗揚げようとしている人が多いようだ。

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「たぶんですが、野良犬の数と同じくらい韓国系の店があるんじゃないですか? 」
と俺が言うと、ミオさんはしばらく黙り、そしてニヤッと笑い、言った。

「嵐さん。嵐さんって、たまに想像を超える天才的なことを言いますね」

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この記事の作者

嵐 よういち
嵐 よういち
旅行作家、旅行ジャーナリストをやっています。
代表作は、海外ブラックロード・シリーズ。
海外ブラックロードpodcastをクレイジー・ジャーニーで話題の丸山ゴンザレスと二人で週に1回配信しております。
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