第54回 ウイグル人が可哀そうだぞ! 新彊ウイグルの旅(前半)【嵐よういち・海外裏ロード】
カシュガルまではこんな景色が続く

新彊ウイグルの旅

日本の約4倍の広さがある新彊ウイグル自治区に俺はずっと行ってみたいと思っていた。
そこはキルギス、カザフスタン、パキスタンなどと国境を接し、漢民族とは宗教や文化も異なり、まるで違う国がパズルのように中国国土に組み込まれている状態だ。

近年、中国政府が新彊ウイグル自治区でやっているウイグル人に対する弾圧は目にあまるものがある。今現在、訪れる旅行者にとって非常にデリケートな地域で、厳しい検査や尋問も覚悟しなければならない。中国政府に不利益になるようなパソコンの動画やサイトも出発前に俺は削除しておいた。

一体、新彊ウイグルはどうなっているのか? 普通に旅行が出来るのか? そんな調査も兼ねて訪れることにした。

新彊ウイグルに、このサイトでも頻繁に登場してくるホッシーと2018年9月に行くことになった。中国ではLINE、アマゾン、ユーチューブ、ツイッターなどが開くことが出来ないように規制され、メールや電話なども中国当局に監視されるようだ。

そんな感じなので俺はスマホを使うのを諦め、ホッシーは香港で売られているシムカードを装着。これは中国国内で普通に使え、LINE等、ほぼ全て使用できる。だがもちろん、それも監視下にあるので、政治的なものは一切書かない方がいい。

また写真も普通に観光地などを撮るなら問題ないが、ウイグル人や、中国当局の悪事をばらすようなヤバイ写真は空港などで見られたらやっかいである。それにしても中国は経済大国になったというのに、いつまでこんなことをしているのか。

新彊ウイグルは1933年と44年にウイグル人とカザフ人{西シベリアからウズベキスタンに及ぶ広い地域に分布しているチュルク語系の民族で、カザフスタンの基幹民族。「カザフ」の意味は、冒険者、反逆を意味する}が、新彊ウイグル北部に『東トルキスタン』として独立宣言したことがあるが約1年で解体された。

ウルムチ空港に到着

ウルムチの空港に到着したのは22時を過ぎていた。荷物を受け取ったが、俺は凄く心配していたことがあった。噂によると、空港内には公安警察がたくさんいて、外国人を別室に連れていき、パソコンやスマホをチェックし、それらに何かを仕込むといったものだ。だが特に何もなく、その心配も杞憂に終わる。

タクシーに乗って宿に向かうとき、車の渋滞は全くないのだが、所々に公安警察が検問をやっている。ウイグル人の暴動やテロを警戒しているのだろう。一応、パスポートを出す準備をするが、公安警察は俺とホッシーの顔を一瞥すると、そのまま「行け」とごく簡単なものだった。

街を歩く違和感

翌日、街を歩き周るが公安警察の臨時監視所がたくさんあるのに驚かされる。見ると、意外なことにウイグル人の警官も多い。これは警備員も同じで、博物館に入場する際にも空港のような検査があるのだが、そこでもウイグル人が働いている。

ウルムチは大都会だ

ウルムチは大都会だ

漢民族の人員を補充するために征服民族は地元の民族を使う手段は歴史上どこでもやられてきた。政府に反抗的なウイグル人は収容所に連れていかれ、一般の人も監視対象なので、彼らは主要な職種に就くのは難しく、仕事もあまりないので公安や警備員の募集があれば飛びつくのだろう。これは仕方なのないことだ。

ウイグル人というのはトルコ系で、新彊には元々、大勢住んでいた。中国がそこを侵略し、20世紀半ばに、内モンゴルやチベットと同じように直接支配を開始した。そんな歴史があって、ウイグル人は当然のように独立や自治を認めてもらいたい意向をしめす。

だが、1989年の天安門事件以降、漢民族中心の右翼的国家体制になり、また経済自由化にともない、辺境地域などに漢民族の移民政策が促進された。そのようなことをすれば少数民族の反発が起こるのは当然の帰結で、2010年前後から大規模の騒乱が増えた。中国政府はそれを力ずくで抑えにかかった。
国連人種差別撤廃委員会によると、最大100万人のウイグル人が強制収容所に入れられていると報告する。

活気のないウイグル人・バザール

ウイグル人のバザールに到着し、中に入ろうとするとまたもや検査。パスポートを見せると漢民族の若い女性がやってきて英語で質問攻めが始まった。だが彼女の英語力は拙く、俺が訂正してやると苦笑いしている。彼女は悪い人ではないようで、形式的な質問だけで終わった。

観光客が多い、ウルムチのウイグル人・バザール

観光客が多い、ウルムチのウイグル人・バザール

バザールはウイグル人の店が並んでいるが、観光地化されていてなんだが少しシラケてしまう。ウイグル人専門の店が並ぶ場所も活気がなく、なんだが複雑な気持ちになってしまう。

厳しい駅の監視

俺とホッシーは寝台車に18時間乗ってカシュガルに移動することにした。ホテル前からタクシーを拾い、ウルムチ駅に向かうが、かなり距離がある。駅は新幹線の鉄道高架がそびえ立っていて、駅舎は建設されて間もないのか新しくて綺麗だ。中に入ってみるが、かなり大きい。

ウルムチ駅  近代的で綺麗だ

ウルムチ駅  近代的で綺麗だ

入口でさっそく空港のような検査があり、大きな荷物を持っているウイグル人は中を開けられている。凄く時間がかかりそうだ。検査する前にパスポートのチェックがあり、若い男女の係員はそれを機械に通し、俺はカメラに顔を向ける。どうやらパスポートの顔と一致していないといけないらしい。

ホッシーは一発OKだったが、俺の方は何回やっても、メガネを外してもダメで、係員もいいかげんに嫌になったみたいだが、やっと通り、思わず係員と目が合ってお互い微笑む。

俺たちはチケットをネットで予約してあるので発券をしに行った。窓口は列がかなりできていて30人くらい並んでいる。それが6ブースぐらいあり、意外なことに中国名物の割り込みもなしに要領よく進んでいく。

俺たちの前にあと二人と迫った時のことだ。おそらくチケットの不備でもあったのだろう、チケットを二枚手に持ったオバちゃんが割り込んできた。
すると俺たちの3人後方の若い女が凄い剣幕で文句を言う。するとそのオバちゃんはチケットを掲げながら何か抗議。そんなことがありながら、予約済みのチケットを無事ゲットした。

カシュガルまではこんな景色が続く

カシュガルまではこんな景色が続く

カシュガル

寝台車に乗り込んだ翌朝、目を覚ますと、都会に近づいてきたのか、砂漠が一面に広がる景色から一変し、遠くに見える密集した建物が徐々に近づいてくるのがわかる。

車内の様子。一等車だが、レベルは低い

車内の様子。一等車だが、レベルは低い

カシュガルは同地区の首府が置かれ、人口の80%はウイグル人などの少数民族が占めているが、最近は漢民族の移住が増えている。 また、大都市圏の人口は120万人と言われる。
この街は歴史的にも古く、シルクロードの要衝で、イスラームの拠点都市として『国家歴史文化名城』に指定されている。

駅に到着したのは午前10時。駅構内に公安が見張っている。そこからタクシーで予約してあるホテルに到着し、さっそく街を歩くことにした。

続く

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この記事の作者

嵐 よういち
嵐 よういち
旅行作家、旅行ジャーナリストをやっています。
代表作は、海外ブラックロード・シリーズ。
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