【タイの屋台飯と現実と俺が思うことと】 第7回 国民食クイッティアオの全て(4)
「クイッティアオ・クアガイ・スアンマリ」は裏路地の路上にある店

米粉麺「クイッティアオ」はスープのバリエーションが豊富で、自由度が高い点から食に関して保守的だったタイ人にも受け入れられて国民食になっていった。一方で、クイッティアオの主眼でもあるスープのないクイッティアオもある。「ヘーング」と「パット」だ。

クイッティアオを語るには外せない、この汁なしのタイプを紹介し、4回にわたって見てきたクイッティアオを締めくくりたい。

汁なしと言っても単純ではないヘーング

「ヘーング」は乾いているという意味だ。日本人には「ヘーン」と聞こえるこのクイッティアオのジャンルは「汁なしクイッティアオ」を指す。とは言っても、ただ麺を茹でただけではなく、話はそう単純ではない。

スープありのクイッティアオのつくり方は、麺を茹でて丼に盛り、スープと具材を載せ完成する。一方、汁なしの方は、麺を茹でて丼に盛る、あるいはヘーングをつくるための器に入れる。そこにスープや調味料を少々投入し、混ぜた後に具材を載せて完成となる。ひと手間かかっているのだ。

だから「汁なし」というよりは「和え麺」もしくは「混ぜ麺」と言える。俺は毎年ライターとしての営業活動で東京に短期滞在するが、その時にラーメン店で「油そば」を見かけることがある。最初はなんのことか分からなかったが、よくよく聞けば「汁なしラーメン」ではないか。ひと手間かかった汁なし。まさにヘーングだ。

ムートゥンのヘーングはトゥンの香りが立つ

ムートゥンのヘーングはトゥンの香りが立つ

ヘーングは混ぜる時にスープを使うことが多いので、それぞれのスープの特徴が出る。例えば「トゥン(煮込み)」であれば煮込んだ肉が具材になるので、スープの風味がバッチリ生かされる。だからヘーングであっても、バリエーションはスープと同等である。

「ナムサイ」スープのヘーングはこういう見た目

ナムサイ(透明)スープのヘーングはこういう見た目

パッタイ登場にはやはりあの人の影が

「パット」は炒めるという意味で、クイッティアオそのものをフライパンなどで炒めたもの。この炒め系のクイッティアオで抜群の知名度を誇るのが「パッタイ」ではないだろうか。パッタイは日本人や外国人が聞こえる発音をそのままカタカナにしたもので、タイ文字から正確に言えば「パット・タイ」になる。

パッタイは直訳すれば「タイ炒め」ということになるが、なぜこのような名称になったのか。これもまた、クイッティアオを国民食にしたピブーンソンクラーム元帥が関係してくる。

パッタイはかつて「パット・クイッティアオ」あるいは「クイッティアオ・パット」だったそうだ。まさに「炒めクイッティアオ」あるいは「クイッティアオ炒め」。これを元帥がクイッティアオを推奨すると同時に、外国人にも分かりやすいタイの麺料理ということでパッタイと名づけて広めたとされる。

エビや卵、ニラ、もやし、豆腐、ピーナッツ、マナオ(ライム)が使われ、つけ合わせにも大量のもやし、それにフアプリー(バナナの花の芯)が添えられるのが一般的なスタイル。まさにタイの豪華絢爛(けんらん)な麺類となる。

パッタイは卵に包んだバージョンもあり、オムそばみたい

パッタイは卵に包んだバージョンもあり、オムそばみたい

パッタイで最も有名なのはバンコク都内、王宮方面にある「民主記念塔」にほど近い「ティップサマイ」だ。ここは行列ができる店であり、値段も100バーツ(約340円)前後からと、一般的なパッタイの倍はする。それでもおいしいし、王室も認めている食堂だ。一般公開はされていないが、上には王族用の個室も備える。1939年に開業しており、元帥が「これぞ本物のパッタイだ!」と言ったとか言わないとか。正式店名は「ティップサマイ・パッタイ・プラトゥーピー」。開業当初は名称がなく、1966年9月に現オーナーの母サマイさんの名を冠して現行名になった。

ちなみに「プラトゥーピー」は「幽霊の門」という意味になるが、これは店の近くにある場所の名前だ。今の場所ではなく、まさにプラトゥーピーの近くで屋台を始めたため、この名称がつく。なんだか不吉な地名だが、裏手にある黄金の山に立つ寺院「ワット・サゲート」の門にかつて大量の死体が捨てられたことが始まりという。

バンコクでは1820~21年にかけて、コレラ菌が大流行し、1か月で2万人が亡くなるほどの事態になった。当時は治療法もなく、火葬も間に合わず死体がどんどん捨てられたのだ。当時の写真には死体の周囲にハゲタカ(ハゲワシ)が写っているので、バンコクもなかなかワイルドな場所だったようだ。

代表的な炒め系クイッティアオを紹介

炒め系クイッティアオで代表的なものをここにまとめておきたい。パッタイは平たいフライパンで炒めるケースがほとんどだが、多くの炒めクイッティアオは高温の中華鍋で一気に炒める。この豪快さもまたおいしさの秘訣でもある。

それから、タイ料理は調理法と材料が組み合わさった名称が多いが、炒め系クイッティアオは固有の名称がつけられていることが多いようだ。

●パッタイ
ただのクイッティアオの細麺ではなく、パッタイ専用麺「センジャン」を使用していることが多い。弾力などが違うからだとされる。センジャンは中部チャンタブリー県発祥のセンレックのこと。

パッタイはまさに国民食の中心にある炒め系クイッティアオ

パッタイはまさに、国民食の中心にある炒め系クイッティアオ

パッタイの麺はセンレックではなくセンジャン

パッタイの麺はセンレックではなくセンジャン

●クアガイ
塩焼きそばのようなもの。センヤイ(太麺)を卵や鶏肉とともに強火で一気に炒める。中華街ヤワラーでは干しイカを戻したものも入れる。専門店はかなり少ない。おすすめ店は「クイッティアオ・クアガイ・スアンマリ」。前身を含め60年以上の歴史があり、卵が特徴的。「BMAゼネラル病院」の近くにある。

「クイッティアオ・クアガイ・スアンマリ」は裏路地の路上にある店

「クイッティアオ・クアガイ・スアンマリ」は裏路地の路上にある店

クアガイ・スアンマリは麺がモチモチしている

クアガイ・スアンマリは麺がモチモチしている

クアガイ・スアンマリの卵入りバージョンは、他店とは雰囲気が異なる

クアガイ・スアンマリの卵入りバージョンは、他店とは雰囲気が異なる

●パッシーイウ
クアガイとほとんど同じつくり方で、調味料に「シーイウダム(黒醤油)」を使う。そのため麺は黒く、甘い。野菜は「パッカナー(チャイニーズブロッコリー)」のみの店が多い。

人気店は、やはり60年以上営業する「マ・ヨードパック・ラーチャワット」。海南系移民の父が創業し、今は美大卒の息子が切り盛りする。センヤイは特注だそうで、極薄なのに伸縮性がすごい。パッカナーも特約農家から買い、おいしい部分である全体の3分の1程度しか使わない。

「マ・ヨードパック・ラーチャワット」は若だんな自らがフライパンを振る

「マ・ヨードパック・ラーチャワット」は若旦那自らがフライパンを振る

●ラートナー
炒めに入れるのか、スープ系に入れるのかで非常に悩むのが「ラートナー」あるいは「ラートナー・センヤイ」。日本人は「ラーナー」とも呼ぶが、意味は「上にかける」。あらかじめ軽く炒めておいたセンヤイにパッカナーや豚肉を載せ、スープにとろみをつけたあんをかける。要するに「あんかけクイッティアオ」。パッカナーを用い、麺を炒める時にシーイウダムを少量使うからか、パッシーイウの店には必ずある。センヤイだけでなく、麺をセンミー(極細麺)にすることも。

ラートナー・センヤイは分かりやすい味で、日本人にも人気

ラートナー・センヤイは分かりやすい味で、日本人にも人気

●ミーコラート
バンコクではほとんど見かけない、タイ東北部(イサーン)の玄関口ナコンラーチャシーマー(コラート)県の名物炒め麺。センジャンを炒めるが、味付けが日本の焼きそば風。コラート市街地にあるマッサージパーラー「ペガサス」の交差点を北上して数百メートルのエリアはミーコラート専門街のようになっている。

ミーコラートはなぜか焼きそばのような味がする

ミーコラートはなぜか焼きそばのような味がする

炒め系の醍醐味はやっぱりセンヤイ

タイ国内のクイッティアオは生か半分乾燥させた麺が多い。特にセンヤイは生麺であることが少なくない。保存を長くするために混ぜものをしているのもあるようだが、ちゃんとした麺なら日本では再現できないチュルチュルとした食感を楽しむことができる。

センヤイは市場ではこの状態で売られる

センヤイは市場ではこの状態で売られる

市場でセンヤイを買う時は炒めか茹でか聞かれ、それに合わせて切ってくれる

市場でセンヤイを買う時は炒めか茹でか聞かれ、それに合わせて切ってくれる

これが炒めることでより顕著に違いが出てくる。それを最も感じられるのが「クアガイ」だと思う。味つけがシンプルだし、センヤイの食感を堪能できるからだ。

ごくノーマルなクアガイはこういう見た目で、塩焼きそばみたい

ごくノーマルなクアガイはこういう見た目で、塩焼きそばみたい

クイッティアオは本当に奥が深い。取材でいろいろな店舗をめぐったことがあるが、どの店にもいろいろなこだわりがある。ただ漠然とつくっているではなく、深く掘り下げてつくられたものだったのだ。

ただ、面白いことにクイッティアオ自体には一切こだわらない店も存在した。トータルでおいしければいいという考えで、具材やスープの威力で乗り切る店も少なくない。

バンコクならそれこそ星の数ほどクイッティアオの店がある。旅行でクイッティアオだけ食べると誓ったとしても、滞在中毎日違うタイプの感動に出会えるほど、クイッティアオの店は多く、そして奥が深い。今回の4連載でクイッティアオに興味を持ってもらえたらと思う。

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この記事の作者

高田胤臣
高田胤臣
1977年東京都出身。98年に初訪タイ後、2002年から在住のライター。移住当初は死体へのタッチに執念を燃やしていたが、現在は心霊ライターになるべく、恐怖スポット探しに躍起。タイ語会話と読み書きも一応可。
ウェブサイト:http://nature-neneam.boo.jp/
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