タイ人と一緒にいると「こいつら、面倒くさいな……」と思うことが多々ありますが、その一つが「お化け」や「幽霊」です。

タイ語でお化けのことを「ピー」と伸ばす音を下げて発音するのですが、逆に伸ばすところを上げて発音すると、年上の人らを呼ぶ時に使う「●●さん」という意味になります。
例えば、アルンという自分より年上の人を呼ぶ時は「ピー・アルン」と、ピーの声調を上げると「アルンさん」となりますが、下げると「お化けアルン」になるのです。

僕がタイ人女性にわざとピーの音を下げて呼んだりすると、「だめだめ、それじゃお化けになっちゃうよ！」と注意されたりするのですが、その後にかなりの確率で「お化け見たことあるか？」などと質問され、お化けの話を聞きたがるタイ人が多いことに気付きました。

僕は、多数のタイ料理店でタイ人と仕事をしましたが、必ずと言って良いほど、「この店のあのあたりには幽霊がいる……」と言って、その場所に絶対近付こうとしないタイ人が何人かいます。

店内に幽霊がいるなんて言われるとこっちも嫌なので、「店のどこにいるんだよ？　あなたは幽霊を見たの？」と聞くと「休憩時間に見た！」とオドオドしながら答えるのです。その幽霊は子どもだったり、お年寄りだったりするのですが、皆が「幽霊が黙ってこっちを見てた」と口をそろえて言うのです。

「そうなんだ……で、どんな服を着てて背丈はどれくらいだった？」などと詳細を聞くと、大概「怖くて覚えてない……でも見た！」と言うのです。

「え、子どもだったんでしょ？　男の子？　女の子？　タイ人？　日本人？」とぐいぐい質問すると「だから怖くて覚えてないよ～！」の一点張りなのです。

皆そんな感じなので、僕は「ははーん……この人たちは幽霊などの怖い話が好きすぎて、勝手に見た気になっちゃってるだけなんだ」と結論付けました。

そして、僕が恐怖体験の話をしたりすると、皆ものすごく食いついてきて、鳥肌を立てたり、中には涙を流しながら怖がったりして、「怖いから止めて～！」と抱きついてきたりして怖がるのです。

そんなに怖がるくせに、しばらくするとまた幽霊の話を聞きたがったりして、怪談でおなじみのタレント、稲川淳二じゃあるまいし、そんなにいくつも恐怖体験をしたわけでもないので、同じ話をするのですが、そのたびに鳥肌を立てたりして、見事なまでに怖がって聞いてくれるのです。

なんかもう、タイ人は子どもと話しているようでかわいくなっちゃうんですよね……。

そこで「タイ人の若い女の子となんとかならないかなあ」なんて思っている男性諸君には、幽霊話がかなり効果的ではないだろうかと思うのですが、あまりにリアルだったり、怖すぎる話をすると、泣き出したりして逆効果になる恐れもあるので、そのへんはうまいこと相手の様子を見て、有効活用してみてください。

「大体、幽霊話をタイ語で話せるくらいなら苦労しねーよ、バーカ！」なんて思わないでくださいね……。

あと、タイ人はホラー映画が大好きなので、映画を一緒に見に行くならホラー映画がお勧めです！