【抱腹絶倒タイ人コック】第19回 言葉の壁
今まで多くのタイ人と働いてきました。国の発展に貢献するために、タイ政府からの奨学金で日本の大学に留学して学び、タイに帰国して活躍するエリート学生や、日本の企業に就職する夢を叶えるため、自費で日本語学校に通っている子、日本人男性と結婚して独学で日本語を覚えた人、タイ料理のコックとして来日し、周りのタイ人から必要最低限の日本語だけ覚えた人、などさまざまなタイ人がいました。
そこにはやはり外国人にとって複雑怪奇な「日本語」という言葉の壁があり、苦しむ姿をよく見てきました。
タイがお金をかけて日本に送り込んでくる奨学生らはやはり、一言で言うと「できる」人間で、とにかく賢く、漢字の読み書きまで普通の日本人の大人と変わらない語学力を兼ね備え、なおかつ、グローバルな視点で物事を考え発言し、周りの日本人が圧倒されるほどなので、22~23歳の女子大生なのに、40~50歳のタイ人コックらに頼られ、何かとコックらの面倒を見てくれて、僕も本当に助けてもらっていました。
奨学生のナンちゃんという子は、あくまで普通のタイレストランのホールのアルバイトなのに、タイ人コックらから「タイ語が通じて賢く頼りになるやつ」と認定されてしまい、やれタイにお金を送金するのに得する方法はないのか? とか、クレジットカードをつくるにはどうしたらいいのか? とかその他さまざまなことを相談されていました。
初めのうちは自分でできる範囲で、銀行に一緒に行ってあげたりしていたらしいのですが、相談件数がみるみる増えていき、「同じ国の年上の人の悩みなので助けてあげないと」と頑張っていたのですが、とても手に負えなくなり、ある日僕に相談してきたのです。
相談を受けた僕は「なんでもっと早く言わなかったんだ。それはナンちゃんではなくて、会社がやることだから。まったくやる必要ないから。気付かなくて本当にごめんね」と言いました。
するとナンちゃんは「でも、コックさんたちはお金を渡してくるし、会社に言うと面倒くさいと言ってお願いしてくるし、断るのが怖かったから言えませんでした。でも、大学の勉強も大変だし、コックさんの友だちのことなんかも頼まれたりして、困っちゃって……」と話すのです。
以降の会話は下記の通り。
「何!? やつらは友だちのことまで頼んできやがったのか。あいつらとんでもねぇな、この幼気(いたいけ)な女子大生に……」
「あ、あの、コックさんたちに怒らないでくださいね。無理に言ってきてないし、困ってたみたいだし」
「分かってる! コックたちに怒らないし、ナンちゃんがコックたちからいじめられて困るようなことには絶対にしないから、任せて。前にも同じようなことがあったし、大丈夫だから。あの人たちはね、悪いやつらではなく、自分勝手なバカだから、ほかのコックたちもナンちゃんに頼んでくるとは考えが及ばないんだよ。あの人たちは、ナンちゃんがバイトだけじゃ学校のお金とか家賃とか大変だろうと、勝手に思い込んでナンちゃんに稼がせてやろうと思ってるところもあるんだよ。基本的には、会社に言うと面倒くさいってところが大きいんだけど……。ところで、ほかに困っていることある?」
「ほかは別に困ってませんが、一つ聞いてもいいですか?」
「いいよ、何?」
「焼き肉とか焼き鳥とか言うのに、なんで卵焼きは焼き卵とは言わないんですか? 卵はまだ生まれてないからですか?」
「うーん、正直に言っていい?」
「はい」
「知るか、そんなこと!」
そう言ってナンちゃんの肩をポンと叩いた時の、苦虫を噛みつぶしたような顔は今でも忘れられません。
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