【アジアンナイトクルージング】第13回 宇都宮タイパブ嬢が街中で逃亡、タイに懲りない男の末路
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JR宇都宮駅東口には、タイ人女性が働くパブやタイ料理店が密集

栃木県のJR宇都宮駅東口に立地するパブ「ファースト」で働くタイ人女性Yと会食し、ホテルになだれ込み、高水準の満足感を得た。既に午後10時近くになっており、ホテルに帰ってゆっくり休みたかったが、自分はあくまでも仕事で宇都宮に来ている。休暇で訪れているわけではないのだ。タイパブをもう1軒取材しようと心を奮い立たせ、東口にある別のパブに入った。

このパブは宇都宮の事情通に教えてもらったお勧め店で、スルーするわけにはいかないと考え、立ち寄った。既に酔っ払っていて、立ち振る舞いにも遠慮がなくなっており、初めてにもかかわらず、ちゅうちょなく扉を開けて店内に進入すると、中国人のママさんがやや面食らいつつも対応してくれた。もはや耳タコになりつつある「セット料金」(過去記事参照)は割高だが、1時間5000円で妥結した。

ママによると、タイ人と台湾人の嬢をそろえているそうだが、「席につかせるのはタイ人のみにしてほしい」と伝えた。当方はタイ人に話を聞く必要があるだけで、プライベートではむしろ台湾人と飲みたいくらいなのだが、先方は「タイ人マニアが来た」と思っているかもしれない。

席につくと、タイ人はタイ人でも30代後半とみられるババアが隣についた。バイブスは急降下したが、無視するのも大人げないので、適当に世間話していると、そのババアが場を持て余したのか、妹分の若い女を呼んでくれた。色気はないものの、なかなか気が利くババアである。

その後、ババアを適当にあしらいつつ、若い方に照準を定めると、それを察知した中国人ママがババアをほかの客の席に移してくれた。なるほど……人気の秘訣はこの連係プレーかと納得。ここで若いのにおごらないと、彼女らの気遣いが水の泡になるので、レディースドリンク(1000円)を1杯発注し、少し話を聞いてみることにした。

パタヤ出身の大卒嬢、定職なし

その女の名はプロイ(26)。タイでは実によく聞くチューレン(あだ名)である。東部チョンブリ県のビーチリゾート地パタヤの出身。「働いていた場所ではなく、出身地だぞ!」と念を押したが、間違いなくパタヤという。プロアマ問わず、これまで数百人のタイ人女に出身地を聞いてきたが、パタヤと答えたのはわずか数人である。

ちなみに、最も多いのはやはり東北部(イサーン)で、チェンマイをはじめとする北部や首都バンコクが続く。元妻は南部クラビ県出身。南部女性は性格が悪いと言われており、自分も痛感したが、その話はまた別の機会にしよう……。

閑話休題。プロイはチョンブリ県内のブラパ大学を卒業。ブラパ大のパッツン女子大生は同県内の港町バンセンの繁華街などでよく遊んでいる。茶髪、ミニスカート、ハイヒールの女子大生も多く、あまり真面目そうには見えない。プロイも自由奔放な学生生活を送っていたことが想像できる。

大学では、ツーリズム(観光学)を学んだという。日本にも観光学部を擁する大学が複数あるが、具体的にどんな勉強をしているのだろうか。経済学や文学などとは違って、イマイチよく分からないというのが本音ではなかろうか。プロイを「ディスコとかで、ツーリズムの現場実習に励んでたんじゃないの?」といじると、「馬鹿にしないで!」と不機嫌に。プロイド、いやプライドは無駄に高そうである……。

とはいえ、実際にディスコは好きだそうで、パタヤの最大歓楽街ウォーキングストリートの「ピアー」によく行くそうだ。自爆していることに気づいていないのだろうか。パタヤ在住で定職はなし。実家があるとはいえ、何かしら仕事をしないと、生活していくのは難しいだろう。春をひさいでいることは容易に推察できる。

今回の宇都宮は2週間の短期滞在で、店では連れ出しも可能と打ち明ける。彼女の雇用形態をめぐっては、合法的なものとは言い難いが、本記事の中でそれを議論するつもりはない。したがって、店名もあえて明記しない。それよりも、彼女の生態が気になるところだ。

「宇都宮は楽しい?」

「全然楽しくない。いなかで何もないし、歩いている人たちもなんだかダサいし……退屈だわ」

「それは仕方ないよ。オシャレな街が好きなら、東京や横浜に行った方がいい」

「そうね。数年前に大阪は行ったことがあるけど、宇都宮より全然楽しかったわ」

「宇都宮はあと何日いるの」

「明後日にやっとタイに帰れるわ」

「そう……じゃあ明日にランチでもどう?」

「うん、いいわよ」

こんな簡単にアポが取れて良いものなのだろうか……。タイ人女性とのプライベートコミュニケーションを求めている人には、宇都宮を選択肢の一つに入れてもらいたい。私はかなり酔っ払っていたこともあり、プロイとのLINE交換後、会計を早めに済ませ、千鳥足でホテルに帰った。

タイ人あるある、デートに女友だちを連れてくる

翌朝起床すると、プロイとの昼飯の約束などどうでも良くなっていたが、プロイの方からメッセージを送ってきた。予想以上に暇なのかもしれない……。

「おはよう、今日会えるかしら?」

「うん、もちろんだよ。1時に待ち合わせよう」

待ち合わせ場所に指定したJR宇都宮駅内のスターバックスでアイスコーヒーをすすっていると、待ち合わせ時間から15分くらい遅れてプロイが現れた。しかも、同僚のタイ人女を勝手に連れてきている。「タイ人デートあるあるか……」と失望しかけたが、よく見るとその友だちはプロイよりもかわいいので、こうなったら3人で楽しむしかないと気持ちを切り替えた。

友だちはマイという名で、20代後半。サルが数多く生息することで知られる中部ロッブリー県出身。日本人男性と結婚した叔母が横浜に長年住んでおり、そこに遊びに行くのも今回の日本旅行の目的の一つという。経産婦ではあるものの、スリムで女性らいしいスタイルを保っており、なかなかナーラック(かわいい)である。

昼食は選択肢の多い東武宇都宮百貨店のレストラン街で取ることにした。JR宇都宮駅からは徒歩で15分近くかかるため、休憩がてら途中の商業施設「マルイ」や前述(前回記事参照)のアーケード商店街「オリオン通り」で、彼女らのショッピングに付き合った。

オリオン通りの露店では、マイがロッブリー出身だけに、サルのキーホルダーに興味を示した。土産に買おうとしているのだろう。キーホルダーの写真を撮りまくり、タイの家族にLINEでその写真を送り、「どれがいい?」といったやり取りを延々と続けている。露店のおやじは、タイ語はもちろん英語も話せないので、私が通訳するしかない。マイがキーホールダーをようやく購入し、あたりを見回すと、プロイの姿が消えていた……。

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オリオン通りを歩くプロイ(左)とマイ。この後、プロイが逃亡した

プロイのスマートフォンはインターネットに常時接続されておらず、LINEメッセージを送っても、既読にならない。電話番号も分からない。付近をしばらく探してみたが、どこにいるのか見当もつかない。そうこうしているうちにマイの出勤時間が迫り、時間的な余裕もなくなってきたので、昼食を食べずにJR宇都宮駅に戻り、暗い表情のマイと別れた。

やれやれ、アホなタイ人女に関わるとやっぱりろくなことが起こらないなと後悔したが、朝から何も食べていないため、腹は空いている。駅付近の大手チェーン店「宇都宮みんみん」でひとり、餃子をほおばっていると、プロイからメッセージが届いた。

「露店の近くで、あなたたちの買い物をずっと待ってたんだけど、待ちくたびれたから、先に帰ったの。マイは思っていたより図々しい性格で、私は怒ってるの。気分が悪いわ」

「え……ご、ごめん」

思わず謝ってしまったが、私が謝る必要はこれっぽっちもないはずである。ランチデートに保険をかけて勝手に友だちを呼んだものの、私がその友だちと仲良くすると、今度は嫉妬心が芽生え、逆ギレして先に帰ってしまうというわがままぶり。プロイには呆れるほかないが、その後もやり取りしているうちに「今度はパタヤのディスコに一緒に行こう」とまた約束してしまった……。

タイに懲りない男とはまさに、私のことなのである。(宇都宮編終わり、新羽七助)

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宇都宮みんみんの焼餃子と水餃子のセット560円。コストパフォーマンスは高い

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