【タイの屋台飯と現実と俺が思うことと】第19回 勇者にお勧めの生肉料理、ゴイヌア
日本の法令は過剰ではないだろうか。そして、日本人の多くはその法令に寄り沿っていて、自分の舌で食べて良いものかいけないものかを判断していないと思ってしまう。
俺はかつて在タイ日系企業の営業マンとして働いていたのだが、その時に日本から来た客をアテンドして食事に連れて行った。そのうちの何人かはタイの氷や水が危ないと何かで見聞きしていて、俺に「これ大丈夫?」と聞いてきた。
はっきり言って「知るかよ、そんなこと」である。ダメだと思うなら飲まなければいいし、良いと判断するなら飲めばいい。誰の責任でもなく、口に入れた本人の責任だ。俺はその質問を受けると「さあ」と答え、「食器を洗ったり、料理にも生水を使ってますけどね」と嫌味を付け加えた。
2011年に日本で発生した集団食中毒死亡事件を受け、同国では生肉が馬以外食べられなくなった。その事件では全ての人が生肉を食べていたわけではないので、単に厨房の衛生管理もできない最低の店だったことは間違いない。
一方で、10歳未満の子どもにまで生肉を与えていた保護者もどうかと思う。法令がどうであろうが、自己責任のつもりで与えるべき物はしっかりと見極めるべきだ。
タイは衛生管理などに関する法律が日本と同じくらいにしっかりしているが、幸か不幸か、生肉は一切規制されていない。タイ保健省は推奨はしていないし、食べないよう呼び掛けてはいるのに禁止にはしていない。だから今でもタイでは生肉が食べられる。
そんな生肉料理はタイ料理の中にもいくつか存在する。ここでは、その中でも比較的食べやすい「ゴイ・ヌア」(牛肉のゴイ)を紹介したい。
東北部の代表的生肉料理ゴイ・ヌア
タイの生肉料理を紹介
タイ人はかつて「日本人って刺身を食べるんだって? 気持ち悪い!」なんて言っていたものだが、タイ料理にも食材を生で食べる料理はたくさんある。そして、既に述べたように、生肉の料理だって存在する。しかも、刺身がどうこう言うよりも、はるかに「グロい」物もたくさんある。
まず、ここではタイ料理に存在する生肉料理を羅列したい。南部は文化的に食べないようで、東北部(イサーン)と北部が中心になる。
□イサーン料理:牛肉や豚肉などを使うが、牛肉の方が多い
●ゴイ
イサーン料理で日本人に最も有名なひき肉のサラダ「ラープ」とまったく同じ調味料を使う。違いは肉が基本的にはぶつ切りで、生肉という点。煎り米の苦みと唐辛子の辛さが特徴で、殺菌作用もあるようだ。コブミカンの葉を使うことも多く、香りが良い。
血を一切入れていないゴイ・ヌアはこんな感じ
●ラープ・ルアット
使う肉はゴイと同じだし、調味料も同じ。ゴイとの違いは、その肉の動物の血や内臓を生のまま混ぜること。イメージとしてはゴイは乾いている一方、ラープ・ルアットは湿っている。
●ソックレック
ラープ・ルアットとほとんど同じだが、コブミカンの葉を入れることはないし、牛肉でつくった物を特にソックレックと呼ぶ場合もある。タイ人でもゴイ、ラープ・ルアット、ソックレックの違いを説明できる人は少なく、諸説ある。ゴイは血を混ぜないが、ラープ・ルアットとソックレックは同じ物と説明する人が大半で、この3種全てが同じという人もいる。
牛肉で作ったソックレックは血の苦みがあるが、辛さで案外食べられる
●ソーイ・ジュ
イサーン奥地でしか食べられていないのでは? という生肉料理。首都バンコクで見ることはまずない。ソーイは薄く切る、ジュはナムチム(タレ)の意味で、新鮮な牛や豚の肉、内臓、脂肪を薄切りし、そのままタレに漬けて食べる。タレには胆汁やレバー、内臓などを入れることもあり、苦い味を好む人が多いという。
牛刺しをもっと乱暴に食べるのが東北部のソーイ・ジュ
□北部料理:牛肉や豚肉、水牛などあるが、豚肉が多い。ジビエ肉(特にシカやイノシシ)もよく食べられている
●ラープ・ディップ
ラープ・ルアットとほぼ同じだが、ラープ・ルアットは牛肉が中心なのに対し、こちらは生豚肉が多い。内臓は茹でるケースが多く、香りの強い香草と和えたサラダといったイメージ。
北部のラープ・ディップ。豚肉だったが、この時は問題なかった
●サージン(サーヌア)
ラープと同じ調味料だが、内臓は混ぜる前に必ず茹でる。また、下記のルーに似ているが、こちらは血を混ぜない。
●ルー
生肉と血、内臓を和えているが、血が多くてほとんどスープ状になっている。
●ルー・ピア
ルーとほぼ同じだが、牛や水牛の腸内にある繊維を取り出して混ぜているのがこのタイプ。草食動物の腸内にある繊維って、要するに……。
□中部:基本は牛肉だが、あまり食べられてはいない。
●プラー
コブミカンやレモングラスなどハーブとともに野菜を和えた「ヤム」(タイ式サラダ)のような料理。ただし、首都バンコクの飲食店でも見かけるものの、大半がエビを使っていて、肉の「プラー」はあまり見かけない。また、肉は完全に生ではなく、表面を軽く湯煎などしている。
死亡事例が北部に多い理由とは?
前述のソーイ・ジュは野性的すぎて、刺身をどうこう言われる筋合いはないとさえ思う。実際、タイ人ユーチューバーなどの動画で確認すると、衛生管理とかそんなこととは無縁な肉や内臓、脂肪を、タイ人男性らが切っていくそばからタレにつけて口に運んでいく。若い人は苦笑いで口にせず、主に年寄りが食べているようだ。
文化的には、生肉はタイで定番というわけでない。ソーイ・ジュの動画のように、若い人は食べないという人の方が多い。生肉は元々、極地などで植物からビタミンなどを得られないため、生肉から得るために始まった食事方法であるという。
現代においてはもはや、生肉は不要とも言える存在になっている。趣味嗜好の世界であり、若者には好まれないのかもしれない。そもそも、危険という事実も若い人はよく知っている。
そして、タイでは実際に死亡者も毎年出ている。どちらかというと、ルーイ県(※)など北部の山岳地に集中している。これは、北部の生肉は豚が中心になるからだろう。また、山岳地帯はイノシシやシカの肉を生で食べる機会が多いのも要因である。
とにかく、生肉は信頼できる店で食べること。そして、正直、本当に信頼できる店はほとんどないと言ってもいい。タイ人と日本人では衛生観念に大きな隔たりがある。タイの衛生管理に関する法律はかなり厳しいが、必ずしもしっかりと運用されているわけではないということもある。
この雰囲気でつくる生肉料理を許容できるかどうか
日本人が経営する、あるいは管理する店ならある程度安心して生肉料理は手を出せる。ただ、そうなると今回推しているゴイ・ヌアの安全な店が存在しないということになってしまう。
バンコクでは他国の生肉料理も食べられる。これはレバノン料理店「ナディモス」のクッベ・ナーイエ(ラム肉)
日本人経営だろうが、外国人経営だろうが、いずれにしても生肉は100%安全とは言えない。自己責任という前提でお勧めできるゴイ・ヌアがあるのは、今、バンコクで在住日本人に最も有名な屋台になるだろう。かつては店名さえなかったが、今は「ラープ・ラブラブ」という名称になる、ヨートさんのレバ刺し屋台である。
ややウェットなゴイ・ヌアがヨートさんの店の特徴
※ルーイ県自体は東北部(イサーン)に区分される
バンコクの下町でレバ刺しとゴイに舌鼓
まず、店名のラブラブは愛を示すラブではないはず。ラープのタイ文字を短母音に縮めていることで、末子音がBに聞こえるからというだけに過ぎない。そんなことはどうでもよく、そもそもこの店名で呼ぶ日本人は少なく、大体は「ヨートさんのレバ刺し屋台」と呼ぶ。
調理をするヨートさん。生肉を扱えるのは彼ともう1人の調理師だけ
レバ刺しというのは、まさにあのレバ刺しである。塩とごま油も用意され、日本の焼肉店のようにレバーを生で食べることができるのだ。タイの日本人経営店のレバ刺しは大体200バーツ(約700円)以上するが、ここはたったの70バーツ(約240円)と激安だ。
ヨートさんの屋台のレバ刺しと牛刺し
ヨートさんは中東や欧州など、世界各地で和食店に携わってきた調理師。数年前にバンコクに戻ってきて、この屋台を始めた。そして、日本人ブロガーなどが紹介したことで一躍有名になった。
ヨートさんが日本人に人気なのは、レバ刺しを日本式に食べられるところ
ヨートさんは元々、イサーンの出身。だから、日本人は生肉などを中心に食べているが、タイ人客はイサーン料理を堪能する。和食経験者がつくるイサーン料理はどことなく上品だ。
最近始めたばかりの、ヨートさんがつくる牛肉のユッケ
そして、生肉も扱うわけで、ここではゴイ・ヌアも楽しめる。牛刺しなどにも使う新鮮な肉だし、本格的なイサーン料理よりも上品な辛みと苦みでちょうどいいのである。
ヨートさんの店でも心配なら、この牛炙り(牛たたき)から始めよう
ヨートさんの店は高架鉄道(BTS)プラカノン通りそばのプリディー通りにある。ソイ43に立地するため、歩ける距離ではないので、タクシーかバイクタクシーを使おう。ソイ入口にあるテントの奥が彼の店だ。19時ごろ営業開始で、終わりはなんと朝4時。夜遊びの後に、ゴーゴーバーやカラオケの女の子と行けば、女の子も喜ぶというメリットもある。
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