コピー商品について、最近はタイでも厳しくなっているが、まだ多くのブランドコピーを扱う店がある。今回は、東部のビーチリゾート地パタヤで、コピー商品を売る店の店主と仲良くなり、倉庫に潜入してきた話をお伝えする。

数年前、パタヤのある場所で買い物をしていたら呼び止められた。「お兄さん、財布落としたよ」と言われ、財布を差し出された。海外で落とした財布が帰ってくるなんて思ってなかったので彼に感謝した。

それがきっかけで彼と仲良くなり、店にも行くようになった。彼の店では、皆が知ってるような有名ブランドの商品も多く売られており、最近は日本人客より中国人客の方が多いとも言っていた。

2018年11月のパタヤ滞在中、彼に「これから商品を取りに行くけど、工場についてくるか？」と誘われ、興味があったので「行く」と答えた。彼の名前も工場の場所も秘密にする約束で、白いハイエースに同乗させてもらった。

パタヤの道路にはそこそこ通じているが、スクンビット通りを越えてかなり奥の方まで来たようだ。彼が「着いたぞ」と言って車を降りたので、自分も降りて建物の中に入る。彼は「ファクトリー」と呼んでいたが、実際は倉庫のようだ。

彼は建物に入り、管理人と見られる男に紙を渡すと、その男は奥に消えて行った。俺は写真を撮ろうと思ったが、彼に止められてしまい、撮ることができなかった。見渡す限り、衣類が大半の倉庫のようで、カバンや財布はここにはないらしい。

管理人がスタッフ数人とともに、大きな段ボールを何箱も運んできた。段ボールの中身は有名スポーツブランドのシャツ。スタッフらが段ボールを車に積み込むと、彼は管理人から紙をもらってハイエースに乗り込み、パタヤ中心部に戻ってきた。

だが、そこは彼の店ではない。詳しい場所は明らかにできないが、「こんなところに？」と思われる場所に、倉庫で受け取った段ボールを運んでいった。そこは「第２倉庫」と呼んだ方がいいだろうか。

そこの撮影はさせてもらえた。荷ほどきしていないシャツなどが雑然と置かれている。モノグラム柄で有名な高級ブランドのシャツも何枚か確認できた。

「ここにカバンや財布はないのか」と聞くと、彼は「扱っている場所が違う」と言う。そういえば、シャツと財布を一緒に売る店は少ない。

彼に食事をおごる約束をしていたので、仕事が一区切りついたところで一緒にレストランに入った。彼は「最近、ブランドコピーはメイドインタイランドの商品が増えた」「前はメイドインチャイナが多かった」「今は警察もうるさい」「摘発されたら強制送還だろう」などと打ち明ける。だが、「娘のために頑張る」とし、今の仕事を辞めるつもりはないようだ。

彼との約束で明らかにできない部分もあり、満足な記事が書けたとは言い難いが、パタヤのブランドコピーの闇に少しだけ迫れた気がする。