第29回 虹4嬢にペイバー代を払わせた伝説【新羽七助のゴーゴーバージャーナリストへの軌跡】
バンコク・ナナプラザのゴーゴーバー「レインボー3」に在籍する同棲相手の彼女、レックとの関係がギクシャクしていた。そこで浮上してきたのが、「レインボー4」で働くシンである。
シンちゃんは東北部(イサーン)ノンカイ県出身の22歳。レックとは友だちではないものの、同じレインボーグループに在籍するゴーゴー嬢として顔見知りではある。私がシンをペイバー(連れ出し)したら、もちろんレックの耳に入るので、チャレンジしたことはなかった。が、シンは私のことを気に入ってくれており、店内でレディースドリンクをおごらなくてもお話できる“おしゃべりアイテム”として重宝していた。
金曜日の夜、上司らとバンコク中心部トンローの居酒屋で飲んだ。このころは“ゴーゴーバー中毒”を発症しており、酔っ払ってくると、ゴーゴーに行かないと気が済まない体質になっていた。だが、長年タイで暮らしている上司らはゴーゴーなんぞに興味はない。高架鉄道(BTS)を利用して、一人で向かった。
かなり酔っ払った状態で、レインボー4に入店。向かって右の上玉が踊る“1軍ステージ”のかぶりつき席に座り、ハイネケンをちびちび飲んでいると、いつものようにダンス終わりのシンがやって来た。
「七助、今夜も酔っ払ってるの?」
「うん、悪いかよ」
「別に悪くないけど……たまには一杯おごってよ」
いつもなら平然と断るところだが、当夜は酔っ払っていることもあり、気が大きくなっていた。
「一杯だけだぞ。ジュースはおごらないからな。酒飲めよ」
「本当に!? コップンカー(ありがとう)」
シンちゃんはうれしそうな表情で、「センソム」のソーダ割を飲んでいる。センソムとは、タイのウイスキーで、悪酔いする酒として悪名高いが、庶民の間では男女問わず人気が高い。彼女のドリンクを少し味見してみると、かなり薄い。酒がそんなに強くないので、薄めにつくってもらうようウエイトレスに頼んだようだ。
アルコールで冗舌になったシンちゃんが口を開いた。
「ねー、ペイバーしてよ」
「は、何言ってんだよ。無理に決まってるだろ」
「そうだよね、冗談だから気にしないで」
頭の中で瞬間的に考えた。レックとの仲は今後、悪化することはあっても、進展することはないだろう。だとすれば、遠慮などせず、自分がやりたいことをやるべきだ。この際だからペイバーしてみるか……。
そう思い立ち、レックからクリスマスプレゼントとしてもらった財布(過去記事参照)を開くと、1000バーツ(約3300円)札が1枚も入っていないことにようやく気付いた。自分とシンのドリンク代だけでギリギリである。
「シンちゃんごめん。ペイバーしようかと思ったんだけど、お金がない……」
「コーホック(嘘つき)! キーニャオ(けち)!!」
「いや、ほんとなんだって……」
私が財布を見せると、ようやく納得したようだ。数分後、彼女は思いもよらぬ提案をしてきた。
「じゃあ私がペイバー代払うから連れ出して」
「は!? マジで言ってるの?」
シンは本気のようである。私も断る理由がなかった。彼女は私服に着替えて戻ってくると、「ペイバー代はもう払った」と耳打ちしてきた。私はドリンク代を支払い、彼女とレインボー4を出た。
手をつなげない器の小ささ
ナナプラザには喜怒哀楽が渦巻いている=新羽七助撮影
レインボー4を出てからが大変である。普通の客とゴーゴー嬢なら、イチャイチャと手をつないで歩いたりするものだが、私にはそのような精神的な余裕はない。なにせ目と鼻の先で同棲相手のレックが普通に働いているのである。
さも一人でいるかのように、シンの数メートル先を足早に歩き、ナナプラザを出て右折し、スクンビット・ソイ4入口のガソリンスタンド前でシンと再び合流、そこから素早くタクシーに乗った。
事なきを得たが、冷静に考えてみると、レックもペイバーされれば、客と手ぐらいつなぐはずである。いや、手をつなぐどころか、セ●クスするのである。私は遊び、レックは仕事で、立場が違うかもしれないが、お互い様という言い分も成り立つ。少なくとも、私だけがビクビクしているのはおかしい。タクシーに乗って安全な状況を確保したとたん、自分の取った行動が猛烈に情けなくなってきて、シンにも素直に謝った。
「ペイバー代まで払ってくれたのに、勝手に先歩いたりしてごめんな」
「ううん、慣れてるから大丈夫」
シンはあまり気にしていないようだった。これは、彼女の客がほかのお気に入り嬢に気を遣って、私と同じような行動を取っている証左でもある。
向かった先は、ディスコ街RCA(ロイヤル・シティー・アベニュー)に立地する「スリム」。RCAでは現在、「オニックス」などが台頭しているが、2008年当時はスリムと「ルート66」(過去記事参照)が2トップだった。
スリムでは本来、ウイスキーボトルなどを発注して豪快に遊びたいところだが、とにかく貧乏なので、そんな余裕はない。シンも私の懐事情を知っているので、おねだりしてこない。カウンターでハイネケン小瓶2本を購入し、素人タイ人客も多いRCA独特の雰囲気を楽しんだ。
スリムを選んだ背景には、レックが来る可能性が極めて低いと予想したこともあった。ラチャダーの「ハリウッド」あたりだと、本人はもちろん友だちも来るし、店員もレックの息がかかっているしで、シンを連れて行くのは自殺行為に等しかった。(つづく)
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