【タイの屋台飯と現実と俺が思うことと】第21回 臭いけどハマる一皿料理、カーオクルックガピ

どの国にも臭い食材がある。日本なら「くさや」などだ。しかし、その魅力に一度取りつかれると、その臭いさえもおいしさの一部になる。
そもそもそういった臭い食べ物は大体、発酵食品であり、長く保存させたり、体内に取り込むために必要な栄養をつくり出すためだったり、必然的に発生したものだ。タイにもそういった発酵食品が多数あり、その中ではペーストや調味料として重宝される「ガピ」をよく見かける。
ガピはくさやほどではないにしても、臭いにくせがあり、食べられない人は一生かかっても口にできないのではないか。ただ、ある食べ方をすると比較的受け入れやすい。
今回はバランス感覚に優れた一皿料理で、日常的な食事のほか、ダイエット食としても向いている「カーオ・クルック・ガピ」を見ていきたい。
ガピはタイだけのものではない!?
まずガピとは何か。英語ではシュリンプ・ペーストと訳されるもので、小エビやオキアミを塩漬けしてつくった発酵食品。紫色のペースト状で、市場などでは粘土みたいにバケツに盛り上げて売っていたりする。
そのまま食べるものではなく、調味料のベースやスープに入れたり、炒めものに混ぜたりする。臭いがきついが慣れるとおいしいと感じるもので、スープなどにコクが出てくる。というのは、ペースト状ではあるものの、ナンプラー(魚醤)とジャンル的には近いそうだ。つまり、アジア人が好む「うま味」がふんだんに入った食品なのだ。
タイでは全土的に食べられるものだが、多くのタイ人はガピを南部料理と認識しているようだ。南部家庭料理では日常的にディッピングソースとして「ナムプリック・ガピ」が出されるからのようだ。
タイ南部の家庭で出された夕食につくナムプリック・ガピ(中央)
南部ラノーン県の温泉にある食堂で食べた天ぷらにもナムプリック・ガピがあった。
ナムプリックはタイ式の味噌のようなもので、ふりかけ状の乾燥タイプと、食べるラー油のような油っぽいものがある。ナムプリック・ガピは後者で、野菜や魚などと一緒に食べる。
ナムプリックの専門店。写真中央の右側にナムプリック・ガピがある。
タイ式の総菜屋台にもナムプリック・ガピがある(手前の左あたり)
ガピが南部料理と言われるゆえんは、プーケットやミャンマー側の海域であるアンダマン海の沿岸がガピの生産地になっているからのようだ。また、南部では「カーイ」あるいは「グン・カーイ」とも呼ばれるものもほぼガピで、バリエーションが多いのも南部料理に分類される理由かもしれない。
アンダマン海の猟師
ただ、ガピはどこにでもあるもので、本来は特にどこの料理というわけではなさそうだ。南部以外で有名なのは、中部サムットソンクラーム県のものもある。それに、ガピは名称こそ違うものの、東南アジア全域に存在する。
食した時点では気付かなかったが、今これを書きながら思い返してみれば、ベトナムでもガピらしきものを食べた。南のメコンデルタ地方にあるカントーという街で「ブン・マム」が名物と言われ食べた。
ベトナムのカントーで食べたブン・マム。当時は具材の魚を指すのかと思っていたが……
ブンはタイでいう「カノムジーン」で、米粉をやや発酵させてつくった麺のこと。マムは魚という意味なので、ブン・マムは魚スープの麺料理といったところか。このマムがおそらく「マム・トム」を指し、まさにガピのはずである。実際に味がガピそのものだった。いかにも発酵しましたというような、鼻に残るような香りがしたのだ。ほかにもインドネシアやマレーシアなど、どこにでもご当地ガピが存在しているという。
タイではガピは茹でた野菜を食べるためのディッピングソースとして利用されることが多い。南部で食されているナムプリック・ガピである。本当にただ茹でただけの野菜だが、それにガピを混ぜてつくったソースをつけると、慣れさえすればコクのある味わいになる。
南部料理の代表「グン・パット・サトー」。サトーはネジレフサマメノキの実で臭気が強い。ガピを混ぜて炒める
発酵というと、ほぼ腐っているに近いと俺自身は思っているのだが、それを食べるというのはすごい話である。それをつくる方法を開発した人がすごいのか、最初に食べてみようと思った人がすごいのか。いつもガピを目の前にすると、そんなことを考えてしまう。
ガピ初心者はチェーン店で始めよう
カーオ・クルック・ガピは、このガピを使った料理である。この一皿料理がお勧めなのは、ガピが苦手な人でも比較的スムーズに口にすることができる点。つまり、ガピ入門にはかなりいい。
カーオ・クルック・ガピは、ご飯が紫の店が多いが、そうでない場合もある
カーオ・クルック・ガピのカーオはご飯のことで、クルックは混ぜるの意味。以前「ガパオ(バジル炒め)」を紹介した時に、俺のお勧めとして「ガパオ・クルック・カーオ」を紹介した。「ガパオライス」のガパオ炒めとご飯を混ぜて炒めたものであるが、これもそれに近い。
カーオ・クルック・ガピの場合、ガピは米に混ぜてある。だから、ご飯はやや紫色に染まる。この時点でアウトの人はもう一生ガピとは無縁で生きるしかないだろう。付け合わせには青パパイヤ、甘辛く煮た、あるいは炒めた豚肉、刻んだ生の唐辛子、卵焼きを細切りにしたものがある。ほかにキュウリやインゲンのようなもの、紫タマネギなどがつく店もある。
これらを豪快に混ぜてしまう。ここがクルックと呼ばれる理由である。気を付けたいのは、唐辛子はやっぱりかなり辛いので量を調整することと、青パパイヤが異様に酸っぱい店もあるので注意しておこう。
甘い豚肉や酸っぱいパパイヤ、辛い唐辛子を混ぜるので、まるで「クイッティアオ」(米粉麺)を食べる時の調味料セットを混ぜるようなものである。つまり、味が濃くなるのでガピの臭いが和らぎ、初心者でも食べやすく感じることだろう。
カーオ・クルック・ガピはどこにでもある。フードコートや屋台にある。一般的な食堂だとない場合もあるが、たまに高級レストランにあって、ちょっと上品なカーオ・クルック・ガピに出会うこともある。
俺のお勧めは、特にガピ初心者向け、あるいは初めてのカーオ・クルック・ガピとして、チェーン店の「ヤム・セープ(Yum Saap)」を推したい。チェーン店らしい味なので変なトラブルが起こりづらく、味も濃いめで安定しているので、ガピを体験するには案外お勧めである。
ヤム・セープのカーオ・クルック・ガピはスープもセットになっていた。
あと、先日友人に紹介してもらった、バンコク中心部スクムビット通りソイ31の奥深く(正確にはソイ・サワッディーの奥)にある「セーンサムラーン」というレストランもお勧め。運河沿いに立地し、ここのカーオ・クルック・ガピもまた上品で良かった。
セーンサムラーンは一軒家を改装したおしゃれな料理店で、ほかにもこのアジ塩漬けチャーハンも美味だった
ガピもなかなか捨てたものではなく、ぜひ一度試してほしい。
- オフィシャルHP
- 動画ページへ
- 体験レポートへ
- 店舗名
- 業種
- エリア
- 電話番号
- HP
- オフィシャルHP
- 動画ページへ
- 体験レポートへ
- 店舗名
- 業種
- エリア
- 電話番号
- HP
- オフィシャルHP
- 動画ページへ
- 体験レポートへ
- 店舗名
- 業種
- エリア
- 電話番号
- HP
- オフィシャルHP
- 動画ページへ
- 体験レポートへ
- 店舗名
- 業種
- エリア
- 電話番号
- HP
- オフィシャルHP
- 動画ページへ
- 体験レポートへ
- 店舗名
- 業種
- エリア
- 電話番号
- HP
- オフィシャルHP
- 動画ページへ
- 体験レポートへ
- 名前
- 年齢
- スリーサイズ
- 名前
- 年齢
- スリーサイズ
- 名前
- 年齢
- スリーサイズ
- 名前
- 年齢
- スリーサイズ
- 名前
- 年齢
- スリーサイズ