【タイの屋台飯と現実と俺が思うことと】第14回 激辛エビのたたき、グンチェーナムプラー

今でこそ食生活が豊かになったタイ人だが、ほんの10年ちょっと前、特にイサーン(タイ東北部)の人は「和食は味が薄い」と評し、おいしくないとさえ言っていた。醤油ラーメンにさらに調味料を入れるほど、タイ人は濃い味に慣れていたのだ。
だから、刺身なんてもってのほかと思っている人ばかりだった。醤油をどっぷりとつけてもまだ味がないとか、気持ち悪いというのだ。
ところが、タイ料理に生ものはないのかというと、そんなことはない。いつか紹介するが、イサーンや北部には牛肉や豚肉、ジビエ肉(特にシカやイノシシ)、水牛の肉を生で食べる料理もある。ただ生で食べるだけではなく、血や生の内臓を入れるものだってあるのだ。それでよく刺身が気持ち悪いと酷評できたものだ。
さらに言えば、タイの海鮮料理にも生で食べる料理が存在する。それが今回紹介したい「グン・チェーナムプラー」だ。むちゃくちゃ辛いが、おいしい店に出会ったら全身に電気が走るほど感動する逸品である。
海辺の街だから海鮮がおいしいとは限らないのがタイ。バンコクでもおいしいグン・チェーナムプラーはある
生エビは唐辛子とニンニクで殺菌
歳を取りつつある中でふと思ったり、日常生活で感じるのが、例えば炭酸飲料などが今は簡単に買えて、好きな時に飲めるようになったな、ということだ。俺が子どものころは冷蔵庫の冷たい飲みものといえば、麦茶しか入っていなかった。烏龍茶も存在しない時代だったし、甘い飲みものは誕生日か祖父母の家の集まりなど特別な日だけだった。昔と今は違うということをふと思ったりする。
それで言うと、特に東京なんかは、俺が子どものころは寿司でもなんでも、甘エビ以外でエビの刺身なんてなかった。初めて生のエビを食べたのは17歳で北海道をひとり旅した時の小樽の寿司くらいで、その後もエビの生身を口にするなんて東京ではなかった。
それがタイに来たら、グン・チェーナムプラーがあるではないか。初めて見た時、俺は強い衝撃を受けたことを覚えている。
ごく一般的なグン・チェーナムプラー
グン・チェーナムプラーは「チェー」が漬ける、ひたすといった意味で、ナムプラーはご存知の魚醤である。ナムプラーに漬けたエビということになるが、実際には漬け込んではいない。単に、ナムプラーに唐辛子とニンニク、店によっては「マラ」(ニガウリの一種)を刻んだものを混ぜたタレをどばっとかける料理だ。
エビの頭は取ってある。ちなみに、タイではエビのしっぽについている三角形の尖った部分を取っている店を見たことがない。刺さったりするので危なく、だからちゃんと取ってあげる、という日本の飲食店が過剰なのかもしれないが……。
いずれにしても、生の場合はこの三角の部分に汚れた水がたまりやすいそうなので、生食の場合は、尾は口に入れない方が良いらしい。
どうしても東南アジアで生ものを口にすることに抵抗がある人もいるだろう。その気持ちは分からなくもないが、唐辛子と生のニンニクスライスによって、体内で殺菌的な現象が起こると、俺は信じている。
そうして口に入れると、生エビのぷりぷり感と、甘い肉の味が一瞬口に広がり、あとは唐辛子とニンニクの辛さで地獄に落ちる。これがグン・チェーナムプラーである。
感激した店は中華街のT&K
グン・チェーナムプラーは、海鮮料理店ならどこにでもある。普通のレストランでもよく見かけるので、さすがエビの漁獲量が多い国だと感じる。ただ、ローカル店はどうしてもエビが小さい。管理もしっかりしているか分からないし、必ずしも鮮度が高いとは限らない。また、エビは小さいと味気ないし、大きいと大味になる。ちょうど良いサイズがあり、値段的にも心配のないものになる。
コンビニでもシーフードソース(右側の緑色のびん)は売られている
それでお勧めなのはヤワラーに向かうこと。ヤワラーは首都バンコクの中華街で、かつてはタイで最先端の繁栄していた場所だった。エレベーターが最初にタイに導入されたのもヤワラーである。
この中華街は1800年代から形成され始めたそうだ。かつては港湾労働者ら、タイの底辺にいた華僑らが追いやられて住んでいたエリア。今でこそタイ国内では華人が経済的に幅を利かせているが、かつての中国系移民は現在のカンボジア人らと同じように、タイ人がやらない肉体労働しか仕事がなかった。
そして、子どもたちに教育とタイの国籍を与えるべく働いて頑張ってきたおかげで、今のタイでは中華系が強い。マレーシアやシンガポールと違うのは、タイ政府が同化政策を戦後くらいまでは続けていたので、今のタイ華人らは中国人というより、タイ人という意識が強い。
そんなヤワラーにはいくつも老舗海鮮料理店があるが、定番の「T&K」がやはりお勧めである。黄緑のシャツを着た人たちがたくさんいるので、嫌でも目につく。
T&Kの外観。ヤワラーのソイ・テキサスに立地
T&Kの上から路上を見下ろす。右側にあるひもで注文書をやり取りする
ここはヤワラー通りの交差点角に陣取る屋台席と、エアコンが効いた建物内の席がある。外国人には屋台席、タイ人には店内が人気のようだ。まあ、値段が違うわけではないので、好きな方を選べば良い。
開店したばかりのT&Kの屋台席。もう少し時間が遅いともっとたくさんの客でごった返す
T&Kの屋内。火事になったら一発アウトになる気もするが、居心地は悪くない
T&Kでは、大半の客がエビの炭火焼きを注文するが、おそらくそれと同じエビを使ったグン・チェーナムプラーがある。結論から言ってしまうと、同店はグン・チェーナムプラーのクオリティーに波があって、だめな時は「まあ、おいしいよね」くらい。しかし、良い時は全身に電気が走るような衝撃的な味だ。
T&Kのグン・チェーナムプラー。この日はアタリではないが、ハズレでもない
T&Kの名物エビの炭火焼きだが、このサイズのグン・チェーナムプラーは絶品
ハズレの時でさえ、他店よりはおいしいが、アタリの日は身が太くて大きい。噛んだ時の弾力と、ぷつんぷつんと弾け飛ぶような食感がとにかくたまらないのだ。タイ人妻も和食の刺身はまずいと言うくせに、グン・チェーナムプラーは大好きで、初めて二人でこの店に行った時、大アタリでびっくりしたものだ。
クオリティーの波に飲まれず、確実に良いものを食べたければ、自作してもいい。東部パタヤの「ナグルア市場」、あるいは同バーンセーンの市場などに行けば、いくらでも新鮮で大きなエビが手に入る。
市場では量り売りで、キロ単位で値段が書かれているので外国人でも買いやすい
グン・チェーナムプラーを自作する場合は生きているものなど、新鮮なエビを選びたい
しかも、市場にはナムプラーと唐辛子で作ったタイ式シーフードソースも売っているので、身を取り出し、ソースに漬ければあっという間にグン・チェーナムプラーのできあがりだ。
シーフードソースは別名「グリーンソース」とも呼ばれるほど緑色が多い
市場なら用途に合わせた各種シーフードソースがそろっている
俺は「生」とつくものが大好きだ。生ビールや生酒、生肉など。生とはつかないが、この生のエビもまたおいしい。グン・チェーナムプラーは人を幸せにする力があると思う。
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