【タイの屋台飯と現実と俺が思うことと】 第16回 渡す前に食べたくなる最強土産、ココナツチップス
見た目もおいしそうなサムイの中身

初めてタイ南部プーケットを旅したのは1999年だった。9月ごろのことで、雨季真っただ中。中心部のパトンビーチ地区に宿泊したものの、毎日雨で海は見られたものではないし、何一つ良い思い出はなかった。

初めてのパトンはこんなに栄えていなかった

初めてのパトンはこんなに栄えていなかった

その後2012年ごろに今はなきタイ発の男性総合誌「Gダイアリー」の特集に穴が開いてしまい、急きょ飛んでくれと頼まれて再訪した。この時にプーケットの良さを知ったが、初めての時と12年はある意味、まったく別ものであったと言っても過言ではない。それは04年に発生した津波だ。中心部パトンも津波に襲われ、今は津波の際の避難経路などが標識化されるなど、雰囲気は一変している。

ただ、そんな初めてのプーケットでも出会いがあった。それは「ココナツチップス」だ。タイはドリアンチップスをはじめ、さまざまな果物のフライがあるが、中でもこのヤシの実を揚げたものは最強である。

今回はそんなココナツチップスを紹介したい。

「なにか」を買ったら最高の菓子だった

当時、東京渋谷のタイ料理店でアルバイトをしていた。その時にはタイ語の読み書きができるようになっていたものの、基礎レベルだったので、筆記体は一切読めなかったし、フォントが特殊なものも読めない状態だった。

ある土産物店でサルの絵が描いてある「なにか」を買った。小さなパックが10個入っている袋詰めで、土産にはちょうどいいかなと判断した。

ココナツチップスの最強版はこの「サムイ」を挙げたい

ココナツチップスの最強版はこの「サムイ」を挙げたい

当時のプーケット(といってもパトンビーチだけの話だが)は雨ばかりで海は汚いし、何より物価が高くて嫌だった。あのころの首都バンコクはカオサンに行けば、ワッタナーさんの1杯10バーツ(約35円)の「バミー(中華麺)」屋台があったし、ほかの料理も大体20~25バーツという時代だ。その時点でプーケットは確か50バーツくらいはしていた。

パトンのバングラロードも今のように歓楽街になっていなくて、非常に静かなものだった。ちょっとだけオープンバーがあって、レディーボーイが踊っているくらいだ。

さっさと立ち去ろうというつもりで早々に土産店を見ていたら、ちょうど良さそうで買ったのがそのパックだった。

宿に帰ってよくよくパッケージを見てみると、商品名が「サムイ」になっている。タイ南部のあのサムイ島のことだ。プーケットに来てなんでサムイの商品を買ってしまうのか。俺は細かいことを気にしなさ過ぎて、時折パッケージなどを雰囲気で手にしてしまうことがよくある。例えば、ハムを買ってきてくれと頼まれたとして、パッケージが似ていれば平気でスモークサーモンを持ってくるレベルである。

宿でよくよく見てみると、ココナツチップスと記載されてあった。この時点ではココナツのチップスなんて食べたことがないわけで、想像もつかない。かといって、食べずに土産として渡すのも相手に対して罰ゲームが過ぎるだろうということで、一つ開けてみることにした。小分けパックで良かった。

見た目もおいしそうなサムイの中身

見た目もおいしそうなサムイの中身

そうしたら、である。これがうまいのなんの。ココナツの実を香ばしく揚げているので、甘さもあるし、香りも芳醇だし、食感がいい。子どものころに青森県で「りんごチップス」を手にした時以来の、「なんじゃこりゃ」から「なんだこれ、スンゲェうまいぞ!」に変化する心の快感だった。

タイ南部のハートヤイ(ハジャイ)なども周りつつ旅行していたが、あまりのおいしさに、結局その旅行中に全て食べてしまった。恐るべしサムイである。

サムイ島を連絡船の甲板から見た

サムイ島を連絡船の甲板から見た

しかし、そんなサムイであるが、本物のサムイ島自体には最近になって1回しか行ったことがない。そういった縁があるからといって、人間、そう心を動かされるものではないようである。しかも、サムイ島が案外に大きいこと、かつ次の取材先が遠すぎたことを見誤り、移動時間を再計算した結果、サムイ島には実質半日しか滞在できなかった。

サムイ島のビーチに朝日が昇る

サムイ島のビーチに朝日が昇る

サムイ島の歓楽街的なストリートにはタイの大手デパート「セントラル」のグループ店もあったし、バーも多数。それでも、パタヤやパトンビーチほどの派手さがなく、なんらおもしろみもなかった。俺にとってサムイと言えば、ココナツチップスのサムイしかないのである。

バンコクにもあったココナツチップス

そんなココナツチップスを先日、バンコクの「チャトチャック・ウィークエンドマーケット」に用事で訪れた時にふいに思い出して探してみた。これだけ広いマーケットだ。サムイはさすがになくても、ココナツチップスはあるはずだ。

乾物屋に行けばありそうだと思ったら、実際にココナツチップスがあったし、もっと言えばサムイもあった。日本の観光地の名物菓子が実は全然違う工場でつくられていたのを知ってしまった時のようなガッカリ感だ。

タイにおいては、ココナツはさまざまな場面で利用される。ココナツはタイ語では「マプラーウ」あるいは「ガティ」と言い、実の中の水は冷やして売られているし、精製したものがパームシュガーになったり、ココナツミルクになる。ココナツミルクは「グリーンカレー」や南部名物「マッサマン」に使われるほか、たくさんの料理に投入されている。

タイは路上のココナツ売りも多く、身近な食べものでもある

タイは路上のココナツ売りも多く、身近な食べものでもある

タイの菓子にはもち米にココナツミルクなどを混ぜたものもよく使われる

タイの菓子にはもち米にココナツミルクなどを混ぜたものもよく使われる

絞り出した油分を集めたのがココナツオイル、あるいはパームオイルだ。近年は世界的に人気で、タイ製のココナツオイルも世の女性たちに大人気である。飲んでも良し、調理に使っても良し、塗っても良しのオールマイティーな美容アイテムだからだ。

ココナツの果肉はそのまま食べると別においしくないが……

ココナツの果肉はそのまま食べると別においしくないが……

そんなヤシの実の果肉をフライにしたのがココナツチップスで、これはタイ語では「マプラーウ・グロープ」と呼ぶ。グロープというのは「パリパリ」とか「カリカリ」といった意味がある。

気を付けたいのが、ココナツチップス系には別のタイプもあることだ。それは「マプラーウゲーウ・オップ・ヘーン」である。マプラーウゲーウの「ゲーウ」はガラスのことではあるが、マプラーウゲーウというと果肉を薄くそいだものを指すようである。そして、オップは蒸すということなので、これはフライではなく、蒸して干したものがチップス状になっているのである。

プラーウゲーウ・オップ・ヘーンの「アンピチャー」という商品

マプラーウゲーウ・オップ・ヘーンの「アンピチャー」という商品

プラーウゲーウ・オップ・ヘーンは、パームシュガーになる直前のような印象

マプラーウゲーウ・オップ・ヘーンは、パームシュガーになる直前のような見た目

好みはあるので、一概には言えないかもしれない。しかし、はっきり言ってこのマプラーウゲーウ・オップ・ヘーンはまずい。食感がふにゃふにゃしているし、甘さも中途半端、香りもあまりない。俺のタイ人妻も「マイアロイ(おいしくない)」と言っていたので、お勧めはフライの方である。

お土産に迷ったら、ぜひサムイを探してみてほしい。

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この記事の作者

高田胤臣
高田胤臣
1977年東京都出身。98年に初訪タイ後、2002年から在住のライター。移住当初は死体へのタッチに執念を燃やしていたが、現在は心霊ライターになるべく、恐怖スポット探しに躍起。タイ語会話と読み書きも一応可。
ウェブサイト:http://nature-neneam.boo.jp/
ツイッター:https://twitter.com/NatureNENEAM
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